2018年~2019年 小麦農林61号の栽培~収穫までのまとめ

2018年の小麦栽培は大失敗、冬の寒さで小麦が消えて行ったり、草に埋もれたりしました。2017年は700㎏の収量があったのにたいして、2018年は70㎏でした。「痛快!ムギつくり 井原豊著」を読んで、麦栽培を学び、早播きや麦踏みをしっかりすることで、麦がよく育ち、500㎏収穫することができましたので、栽培記録をまとめてみました。

詳しくは、「痛快!ムギつくり 井原豊著」を読むことをお勧めします。ここに書いたことはごく一部です。今、中古本またはPDF版しかないのが残念です。

作付したウシの畑の特徴

元茶畑のウシの畑は、広さが2反5畝あり、北斜面で3段になっています。下段が窪地になっていて、雨が降ると周囲から水が集まります。2017年10月の長雨では、下段が液状化して、人参の収穫も足を20㎝くらいずぼっずぼっと土にとられながらしました。

茶畑は2017年3月に借りるまで茶畑でした。直近10年間は出荷せず、伸びた枝を刈るだけで、施肥もしていなかったそうです。2017年夏に全体が草ぼうぼうになってしまったのですが、上段中段下段で、生える草の種類と背丈が大きく異なりました。下段は驚くほど大きく草が育ち、上段の草は背丈が低くやせ気味でした。

2017年に700㎏小麦を収穫したのもウシの畑です。2017年の小麦は、播種量が少なかったことと、2月3月に乾いた土が強風で飛ばされ、上段に積もったことなども影響して、上段の麦はひょろひょろでした。春になって上段にはサナエタデやイシミカワなどが繁茂して、収穫を断念しました。

小麦栽培の記録

2018年10月2日 耕耘1回目
2018年10月23日 耕耘2枚目 下段の小麦種まき 
2018年10月25日 耕耘2枚目 中段上段の小麦種まき
2018年12月9日 麦踏み1回目
2019年1月23日 麦踏み2回目
2019年6月25日26日 麦の収穫・同日に乾燥

耕耘と種まき

小麦の種を播く前に2回耕耘しました。1回だけだとすぐに草が生えてしまいます。2週間空けて2回耕耘することで草が生えにくくなります。1回目は、草の根を切るように、そして草を土と絡ませて、土壌微生物に分解してもらいます。2回目はしっかり深く耕耘します。

播く時期について、「痛快ムギつくり!」では、その地方の適期より10日早く播くのがいちばんよいようである」と書かれていました。早すぎるとトウ立ちしたり、病気になったりすることがあるそうです。

飯能では、米の裏作として11月下旬に播く農家さんがいます。埼玉県のホームページで、「小麦「さとのそら」の栽培ポイント」では11月中下旬となっていました。小島農園では、ここ数年11月7日ごろに播いていました。思い切って、10月23日に播いてみたのです。結果は2016-2017にウシの畑で栽培したときよりもよく育ちました。特に、2年前にほとんど育たなかった上段でしっかり育ったのが嬉しかったです。

小麦を播く量も大切です。2017年の小麦栽培で失敗した一つが、播種量が少なかったことです。夏に育つ稲は、「1本植え」という方法があります。1本植えても3本5本植えても、結局同じ数だけ分けつすることがあります。1本で植えたほうがしっかり育つと思います。同じことを考え、小麦も薄播きで2,3粒ずつ15㎝置きの設定で播いたことがあります。結果、冬の寒さで消える小麦が多く春に散々な結果となりました。冬を越す小麦の場合は、1か所に5,6粒播く設定がいいと思います。

種まきはクリーンシーダー(播種機)を2つ連結して行いました。管理機(車輪の幅が38㎝)で麦踏みすることを考えて、タイヤの芯と芯の距離を38㎝にしました。

直管パイプとカチックスを使って連結します。(写真は大豆のときのもので条間60㎝くらい)

直管パイプとカチックスを使って連結します。(写真は大豆のときのもので条間60㎝くらい)

こどもたちが手伝ってくれました!

こどもたちが手伝ってくれました!

奥で丈ちゃんが耕耘して、私が種まき、こどもたちは遊び始めました。

奥で丈ちゃんが耕耘して、私が種まき、こどもたちは遊び始めました。


 
ウシの下段の種まき完了!

ウシの下段の種まき完了!

麦踏み

「痛快!ムギつくり 井原豊著」には、「第8章 ムギふみの効果は驚異的」とあります。
10表(1反で600㎏)突破のカギは麦踏みにあり、5回も8回もやらないと10俵の麦をとることすらむずかしいとあります。その効用も5つ書いてありました。詳しくは著書を見てください。
効用1 倒伏を防ぐ
効用2 分けつがよくでる
効用3 根張りがよくなる
効用4 凍て上りを防ぐ
効用5 親茎の徒長を防ぐ

さすがに5回も麦踏みをする時間を作れなかったのですが、年内2018年12月9日に1回、年明け2019年1月23日に1回麦踏みをしました。

2018年12月9日麦踏み

2018年12月9日麦踏み

2019年1月23日麦踏み後、行きと帰りで麦の倒れる向きがちがうので、2色になってました。

2019年1月23日麦踏み後、行きと帰りで麦の倒れる向きがちがうので、2色になってました。

栽培期間の様子

2019年3月21日 こぼれ種でおちた小松菜を収穫する人たち

2019年3月21日 こぼれ種でおちた小松菜を収穫する人たち

2019年4月16日 青々とよく育っています

2019年4月16日 青々とよく育っています

2019年5月27日 色づき始めました。収穫はいつかな?

2019年5月27日 色づき始めました。収穫はいつかな?

この頃から、場所によって穂が倒れ始めました。

収穫時期

今年の小麦の収穫適期は6月15日ごろだったと思います。適期に収穫することができず、スズメの食害が多くなりました。よく育ったウシの畑の下段は、収穫時期前から穂が倒れ始めるところが出て、6月25日に収穫する頃にはべっとりと地面にくっついてしまいました。

6月は、梅雨、田植え、ライ麦の収穫、大麦の収穫と、やらなければならないことがいっぱいあります。その上、週に2,3回野菜を収穫して出荷します。毎年、今年は乗り切ることができるのだろうか?と思うのですが、どうにかやりくりしています。土日が晴れていると、お手伝いに来てくれる人が多いので助かります。今年は土日に雨が多かったです。

気持ち的に、大変なライ麦を先に終わらせようと思い、6月15日~17日までライ麦を収穫しました。その後雨が続いて、小麦を収穫できたのは6月25日26日になりました。遅すぎました。ウシの畑は今年は1トン獲れる実りでしたが、収穫時期が遅くなり500㎏になってしまいました。ライ麦を収穫して氣がついたのですが、ライ麦はしなやかで強いので、小麦のあとでも倒伏の心配がなかったと思いました。

収穫適期を判断して収穫することで、収量が倍増します。収穫時期の1週間前、早めに刈ってしまったことがあります。そうすると、乾燥後にしなびる実もあり、重さが1割2割減となってしまいます。その上、未熟の実は籾が外れにくく、籾付が多くなると後で手作業で分別する必要があり多大な時間がかかります。

倒伏について

農林61号は倒伏しやすいと言われています。2019年までは倒伏したことがなかったので、そんなことないなと思っていました。2019年、ウシの畑の下段の小麦がべったりと倒伏してしまいました。

ウシの畑で小麦が倒伏した

ウシの畑で小麦が倒伏した

ウシの畑の小麦は、上段中段と下段で生育が異なります。下段は周囲から水が集まるために土が緩みやすいです。よく育った小麦、雨で土が緩み、穂が雨の重みを受けると倒れやすいんだと思います。稲も、風ではなく、雨がの重さで倒れることがあります。今年の6月はよく雨が降りました。6月10日6月15日と大雨が降りました。この雨が関係しているでしょうか。

2017年6月22日にウシの畑の下段の小麦を収穫したときは、倒伏していませんでした。その年は雨が少なかったおかげでしょうか。

2017年は、ライ麦で学びがありました。水があつまるシカの畑のライ麦は早々に倒れました。まだ青いうちに倒れたので「つむじ風が吹いたのかな?」と思いました。同じくらいの地力で、同じくらいよく育っているキツネの畑のライ麦は倒れても少しだけでべったり倒れません。「水が集まる畑」は倒れやすいのではないかって思うようになりました。土が緩んで強い風が吹くと倒れてしまうのかなと。ライ麦はその後、やせて水はけのよいクマの畑で栽培するようにしました。収量は減りますが、やせている畑で育つライ麦のしなやかで強いこと。7月まで放置していても倒れません。

収穫

2019年は、ウシの畑の上段が驚くほどよく育ち180㎏収穫しました。2017年には10kgか20kgしか収穫できず、草に埋もれた大半の収穫をあきらめました。やせ気味の畑なのにここまで麦が育つのかって嬉しくなりました。痩せた畑で育つ麦は、茎が強いなって思います。

2019年ウシの畑上段の小麦

2019年ウシの畑上段の小麦

2017年ウシの畑上段。ここだけちょっと良く育ち、左側はサナエタデに覆われている。麦の間の草も多かった。草が多いとバインダー(刈り取り&結束する機械)が詰まるので大変でした。

2017年ウシの畑上段。ここだけちょっと良く育ち、左側はサナエタデに覆われている。麦の間の草も多かった。草が多いとバインダー(刈り取り&結束する機械)が詰まるので大変でした。

2019年は良く育ったので、条間にほとんど草が生えていません!

2019年は良く育ったので、条間にほとんど草が生えていません!

下段の小麦は、上中段よりも大きく育ちました。

2019年ウシの畑の下段の小麦

2019年ウシの畑の下段の小麦

でも、2017年と比べると麦の束の重さが違います。よく乾燥したこともありますが、穂が結構食べられてしまったからだと思います。来年は、小麦を収穫してからライ麦を収穫しよう、そう心に誓いました。

べったりと倒れてしまった麦は収穫をあきらめました。発芽してしまうと味が変わってしまうこともあるし、起こしながら収穫するのはとても時間がかかるからです。後日、スズメたちが嬉しそうに食べてました。飛び立った数を見ると100羽200羽くらいいたかなぁ。

収穫後、なるべくはやく耕耘すること

小麦のあとは大豆を播くことにしています。できれば麦を収穫した当日に、できなくてもできるだけはやく耕耘したほうがいいです。1回浅く耕耘して草が大きくならないようにして、2週間後に深く耕耘したら大豆を播くことができます。

今年は雨が多くて、チャンスを逸しました。大麦のところは収穫した日に耕耘できました!ライ麦のところも、日を置きましたがどうにかできました。小麦は7月7日現在、まだ耕耘できていないところがあります―!もう10日経ってしまいました。雨が多い年は、できないこともあるからしょうがない。できることを粛々と進めていくのみです。

ウシの下段は、地力が高いので大豆を栽培すると虫食いが多くなります。葉っぱを食べる甲虫、実を吸うカメムシ、実の中に卵を産んで実を食べるヒトモジマダラメイガなどなど。小麦のあとの秋冬野菜はよく育ちます。大根や葉物を育てようと思います。

コンバインがあればと思うこと

小島農園では、バインダー(刈り取って結束してくれる機械)とハーベスター(脱穀する機械)を使っています。

バインダーで麦を1条ずつ刈っているところ。刈って束ねてくれる、本当にありがたい機械。

2017年ウシの畑で小麦の収穫をしているときの鳥瞰図

2017年ウシの畑で小麦の収穫をしているときの鳥瞰図

ハーベスターは、Yammarの8馬力です。麦の場合は、ハーベスターの脱穀する部分がいっぱいになるので、回転数を確認しながら、待ちながら麦束を投入します。もっとどんどん入れることができたら早く作業が終わるのになって毎年思います。

近くで14町の田畑で、米麦大豆を栽培している農事組合法人精明では、40馬力だったかな?の大きなコンバインで麦を収穫しています。コンバインは早いなって思います。

1条刈りのバインダーと8馬力のハーベスターだと、2日にできる2反800㎏くらいが上限だと思います。これ以上栽培したい場合は、コンバインが必要になるなと思います。今年、田んぼも2反増えました。15馬力のコンバインが必要です。新品は200万円を超えるそうです。機械は高いですね。中古の良品を探す農家仲間もいます。いいコンバインに出会いたいです。

平型乾燥機で小麦を乾燥

今年導入した平型乾燥機で小麦を乾燥しました。
平面型乾燥機を購入しましたに記事があります。

1日250㎏ずつくらい収穫でき、1日分ずつ乾燥させました。2時間乾燥して、様子見て天地返しして、また2時間かけて。朝冷めたところを唐箕かけして20kgずつ米袋にしまいました。

去年までは、2日かけて天日干ししていたので、1日目の乾燥の終わりに一回袋にしまう作業がありました。300㎏の麦を何度も干すのは重労働です。収穫後の天候も気にする必要がない、カビを恐れる必要がなくなったのは本当に嬉しいです。

これはライ麦を乾燥させているところ。途中で上下を返します。

これはライ麦を乾燥させているところ。途中で上下を返します。

籾が残っているので、電動唐箕を使いました。丈ちゃんに任せたところ、少量ずつ唐箕かけすると時間(4時間!)はかかるけどほとんどの籾を除去することができました。

女性でも運びやすいように20kgずつ米袋に入れています。

女性でも運びやすいように20kgずつ米袋に入れています。

小麦の保管

小麦は、かびさせないことと、虫がわかないようにすることが大切です。しっかり乾燥した小麦は米袋にいれ、脱酸素剤(ホッカイロでも代用できます)を入れ、さらに収納ケースに入れて部屋で保管しています。米袋のままだと、ガの幼虫が袋に穴開けて入ってしまい、繁殖することがあります。ゾウムシなどは麦に卵を産み付けていることがあるので、脱酸素剤などで酸素を減らすことで繁殖させないことも大切です。

75Lの収納ケースに20kg の米袋が2つ入ります。

75Lの収納ケースに20kg入れた小麦が2袋入ります。

75Lの収納ケースに20kg入れた小麦が2袋入ります。

穀物貯蔵部屋。ライ麦、小麦、丸麦、種用の大豆を保管しています。

穀物貯蔵部屋。ライ麦、小麦、丸麦、種用の大豆を保管しています。

保管する量を減らすのも大切なので、乾燥後すぐに180㎏を製麺所に送り加工してもらうことにしました。ヤマト便は重ければ重いほど割安だと思います。小麦は収穫したては味わいが薄く、本当は11月を過ぎてから製麺してもらったほうが味わい深くなります。でも夏にそうめん食べたいですし、かびるよりは断然いいですから!

おまけ

麦わらを来年までとっておこうと思いつきました。トマトなど夏野菜用のマルチを張ったときに麦わらを通路に敷くことができたら、草取り時間が減ります。稲で作ったことがあるわらボッチ、麦でも作りました。

麦のわらぼっち

麦のわらぼっち

排出された籾の山で遊ぶこども達。なんでも遊び場ですね。あとで焼いて灰を播きました。このままばらまいてすき込むのは量が多くて手間なのと、種も交じっているので結構発芽しちゃうため。

排出された籾の山で遊ぶこども達。なんでも遊び場ですね。あとで焼いて灰を播きました。このままばらまいてすき込むのは量が多くて手間なのと、種も交じっているので結構発芽しちゃうため。

日が沈んでから、野球して遊びました。リアカーがキャッチャーです。広い麦畑は素敵な遊び場です。

日が沈んでから、野球して遊びました。リアカーがキャッチャーです。広い麦畑は素敵な遊び場です。

カテゴリー: 麦類

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