13年間の田畑の規模拡大についてまとめてみました

1月24日25日に行われた無肥料自然栽培勉強会で、家族農業をしている農家仲間からどうやって規模拡大をしていったかと聞かれたのを機に、2013年に就農してからの軌跡をまとめてみることにしました。

表にまとめると次のようになります。
詳しく説明していきます。

2013年から2025年までの野菜、大豆、麦、米の作付面積と、設備投資

2013年から2025年までの野菜、大豆、麦、米の作付面積と、設備投資

はじめの2年間。2013年~2014年

小島農園は、2013年3月に畑5反を借りて農業を始めました。こどもたちは3歳と0歳6か月でした。
2014年に作成した経営開始計画書では、5年後に野菜70a 200万円、米麦20a 400kg 、大豆20a 300kg を目標に、地道な計画を作っていました。この13年間、田畑の拡大は無理しすぎないように、少しずつ少しずつ進めてきました。無理をすると体調を崩して寝込んでしまい、農作業が後手後手になってしまうからです。こどもたちが小さいので、無理をしないように。
はじめは「宅配セット」という形で、そのとき採れた野菜をセットで販売することにしました。師匠の明石農園さんの真似をして、同じ野菜を作り、同じようなイベントもしました。土が似ていたおかげか、たくさんの失敗がありつつも、野菜が販売できました。
半年農業をやってみて、農業を続けられそうという感触をつかんだとき、23馬力の中古のトラクターを購入しました。クボタのGL23という車種でがっちりしていて、フロントバケット付き、ロータリーが新品に替えてあって100万円です。トラクターのために単管パイプで組んだ倉庫も作りました。
2014年にお試しで小麦を栽培して、40㎏くらい乾麺にしたところおいしくて、宅配のお客様にも売れました。小麦は土づくりにもいいし、うどん文化の飯能で売りやすいと思い、たくさん作りたいと思いました。

バケット付きトラクター GL23

バケット付きトラクター GL23

2015年2月に長女を出産とバインダ、ハーベスタ、ビーンスレッシャの購入

2015年2月に長女を出産しました。知り合いの農家さんでもお子さんが生まれて、思いのほか農作業が捗らないと聞いていたので、夏野菜は種採りメインで作付けして販売をお休みしようと思っていました。出産してみると、思いのほか体が動くので、縮小した面積で効率よく野菜の管理ができ、前年を超える売り上げをあげることができました。
2015年にお米や麦を刈って束にするバインダと脱穀するハーベスタを購入しました。どちらも新品で合計100万円くらいでした。大豆の脱穀用のビーンスレッシャ約100万円も同じ年に購入しました。
私たちが農業を始めるとき、会社員時代に貯めていた潤沢な貯金がありました。大豆を手作業で脱穀していた2014年は、1月のほとんどが大豆の脱穀で終わってしまいました。「会社員時代のボーナスで買ったことにしよう!」と思ってビーンスレッシャを買ったら、本当に作業が楽になって、脱穀後の豆も選別されてとてもきれいでした。2014年からは、「青年就農給付金」の経営開始型を5年間で合計1000万円くらいもらいました。これも、初期に機械をいろいろ購入する助けになりました。
2016年に、今拠点となっている場所で1反の田んぼを借りることができ、農業青年会議所の仲間から稲作関連一式をもらうことになり、お米作りがぐっと楽になりました。それまではトラクターが入れない湿田で田起こしができず、手植えして、手刈りをしていました。田植え機の楽なこと! トラクターで耕せる田んぼの楽なこと! そしてバインダとハーベスタで楽々と収穫、脱穀ができました。

ビーンスレッシャで大豆を脱穀 with ジャンフィ

ビーンスレッシャで大豆を脱穀 with ジャンフィ

バインダーでお米を刈る取って稲束にする

バインダーでお米を刈る取って稲束にする

稲束7つ、重い重い。photo by Mika Toda

稲束7つ、重い重い。photo by Mika Toda

稲架に全部かけた!

稲架に全部かけた!

2020年9月、ハーベスターでお米の脱穀 by やまね酒造の若林社長

2020年9月、ハーベスターでお米の脱穀 by やまね酒造の若林社長

2017年に農家住宅を借りて、とても作業性がよくなりました。

2017年に農家住宅を借りました。それまでは、出荷作業は畑でしていました。11月12月は日が暮れるのが早くて、どんどん暗くなる中で時間に追われてイライラしながらの作業でした。こどもたちは車の中で待機して、ときに「家に帰りたいよう」と泣き叫ぶこともありました。農家住宅に移ってからは、こどもたちは家の中で好きなことができて、私は玄関先の電気で照らされた明るい場所で安心して仕事ができるようになりました。ときに、ホットケーキを焼いてくれることも。
家に井戸があったので、水もふんだんに使えるのがありがたかったです。家の前の田んぼも借りて育苗用ハウスを作ったので、家事の途中でビニールハウスを開けに行くこともでき、苗の管理もちょこちょこできるようになりました。こどもたちが家にいて、用事があればすぐに呼びに来れるので安心です。
家は、田んぼの近くにあります。この引っ越しを機に、それまでの拠点の畑やまわりの畑を新規就農した農家仲間に譲り、新しい拠点の田んぼの周りに畑も増やしました。小さい畑がなくなり、トラクターで管理しやすい畑が増えました。借りた畑を返すことは、地主さんにとってとても困ることなんですが、申し訳ないですがと返した畑がいっぱいあります。田畑が一か所に集まっていると、目が行き届いていいなと思います。

農家住宅を借りて、軒先で出荷準備

農家住宅を借りて、軒先で出荷準備

家の前の田んぼにビニールハウスを建てる

家の前の田んぼにビニールハウスを建てる

2018年から田畑の面積拡大、機械も増える

バインダとハーベスタの導入で、米と麦の作付けを少しずつ増やしました。2017年には、大麦、小麦、ライ麦合計800㎏収穫しました。小麦は適期に収穫できたら1トン採れたかもしれないのですが、収穫のタイミングが遅れてスズメに食べられたり、倒れたところはかびてしまい、収穫しませんでした。バインダとハーベスタで収穫するときは人手が必要で、野菜の収穫・管理などの作業や天気との兼ね合いもあり、なかなか日程が決まりません。また、ハーベスタでは1日に300㎏の収穫と脱穀がせいぜいでした。ほかの農家さんがコンバインでさくさく収穫している様子を見て、コンバインなら、機会を逃さずに、一人でさくっと収穫できるのにと思うようになりました。お米の収穫も、1反の広さでも、いつも暗くなるまで稲架かけして、稲束は重くて大変でした。台風で稲架が倒れたときには、心が折れました。コンバインがあれば、収穫と同時に脱穀までできて楽になるなぁと思い、中古のコンバインを探し始めました。
麦の収穫量が増えるにつれて、乾燥がボトルネックになりました。2017年6月、梅雨の晴れ間に合計800㎏の麦類を天日干しするのは大変でした。天気のいい日なら1日で乾くのですが、物理的に広げて回収するのが重労働でした。家の設備の関係で、縦型の乾燥機が設置できなかったので、2019年に平型乾燥機54万円を買いました。稲架を掛けない米作りの楽なこと。乾燥機は、乾燥しすぎて割れてしまったりと失敗も多かったですが、本当に楽になりました。

麦を天日干ししていたころ。麦を天日干ししていたころ。梅雨の晴れ間に1日で乾くけど広げるのと回収するのが重労働だった。1日で乾くけど広げるのと回収するのが重労働だった。

麦を天日干ししていたころ。梅雨の晴れ間に1日で乾くけど広げるのと回収するのが重労働だった。

平型乾燥機で小麦の乾燥。天気が悪くても乾燥できるのがありがたい。

平型乾燥機で小麦の乾燥。天気が悪くても乾燥できるのがありがたい。

農作業で力仕事がいっぱいありました。大豆と小麦の種まきも、手押しの播種機ではラクビーのスクラムを組んでいるような力仕事で大変でした。特にメヒシバなどの草が残っていると突っかかって大変でした。思い切って48万円の「トラクター播種機」を購入したら、本当にとっても楽になってうれしかったです。簡単すぎて、大豆も小麦も播きすぎて、特に大豆の収穫に苦労しました。

手押しの播種機を2つくっつけて、手押しで大豆の種まき。かなりの力技でした。

手押しの播種機を2つくっつけて、手押しで大豆の種まき。かなりの力技でした。

トラクターで耕しながら楽々種まき。本当に楽です。

トラクターで耕しながら楽々種まき。本当に楽です。

2021年に、稔会という生産者グループを立ち上げてコンバインを購入しました。中山間地のある自治体対象の「未利用農地の利活用事業」でコンバイン代250万円の半額を補助してもらえることになりました。ありがたいです。トラクター播種機、乾燥機、コンバインのおかげで、麦の播種と収穫、乾燥がとても楽になりました。米麦の収穫の日に、私は野菜の収穫出荷に専念して、夫と長男がコンバインで収穫するという分担ができて楽になりました。2025年には、中1の次男と小5の長女もコンバインを操作できるようになりました。機械を操作するって楽しくて、農家を継ぎたいって思う要因の一つだと思います。
2020年には、ご近所さんが4条田植機を使わないか? と親切にも4条植えられる乗用の田植え機を持ってきて使い方を教えてくれました。乗用田植機の楽なこと。一度使ったらもう2条の手押しの田植え期には戻れません。途中、田植え機が借りられなくなったのですが、他の農家さんから借りて、そのうち別の農家さんから格安で譲ってもらうことができました。

お米の収穫 by 次男

お米の収穫 by 次男

乗用の4条田植機で、田植えも楽々に

乗用の4条田植機で、田植えも楽々に

2022年には、トラクターが壊れてしまって、中古のトラクターを135万円で買いました。水平機能がついて、ワンタッチでロータリーが外せる便利なものでした。農業を始めて10年目の私たちに必要なトラクターでした。代掻きハローも購入したので、代掻きが一気にプロ品質になりました。簡単できれいに作業できるおかげで、安心して田んぼの面積を増やせるようになりました。

水平機能付きのトラクターと代掻きハローで、田起こしと代掻きがプロ品質になった

水平機能付きのトラクターと代掻きハローで、田起こしと代掻きがプロ品質になった

田んぼの除草の技術も少しずつ上達しました。中野式除草機できっちり除草するのが基本で、最近は2回目の深水代掻きで草が生えない田んぼにもできるようになってきました。畔草刈りも時間がかかるのですが、スパイダモアで斜面も楽に草刈りできるようになりました。除草が適期にできることを確認して、「(隣の)田んぼを使ってくれないか?」と声がかかったときに「ぜひ!」とお返事できるようになりました。田んぼは、2016年に借りた田んぼの下流を少しずつ借りて増やしていて、まとまって1町になりました。ありがたいです。

小島農園の田んぼと畑が集まる拠点

小島農園の田んぼと畑が集まる拠点

書き出してみると、機械を少しずつ揃えて面積を増やすことができているようです。田畑が1町を超えたときに、必要な機械が増えて、投資した分を稼げるのか? 不安になったことを覚えています。

以前、新規就農して5年目くらいの農家仲間さんたちと話したときに、規模拡大のために田畑を増やす、人手を増やす、機械を増やす必要が出てきて、どれも一気に行うのは難しいという話になりました。うちでは、小さかった子どもたちが大きくなって、コンバインを運転してくれたり、小麦の袋詰めを手伝ってくれたりすることで、柔軟な人手確保ができて助かってます。

自分に合った農業を

新規就農した農家さんの中には、はじめの数年目から3町、10町という規模で農業を始める方がいて驚きます。どうやって管理するんだろう? 私は、石橋を叩いて渡るタイプなので、ゆっくりゆっくり規模拡大してきました。はじめにあった潤沢な資金や、青年就農給付金のおかげで、お金がかつかつになることが少なく、夫婦げんかがひどくならなかった要因だと思います。

米麦大豆の収量があがるにつれ、お客様もいろいろ買ってくださったのもありがたいことです。米麦大豆のいいところは、1年間保管ができることです。加工品をいろいろ作ってもらいました。納豆、乾麺、玄米麺、玄米粉、米粉、丸麦、押し麦、麦茶、豆腐などなど。2019年からは、飯能で「発酵食品の店OH!!!」さんが開業して、いろいろ商品を置かせてもらっています。今では売り上げの1割以上をOH!!!さんで販売させてもらっています。

発酵食品のお店 OH!!!さんで小島農園の商品を並べています

発酵食品のお店 OH!!!さんで小島農園の商品を並べています

パン小麦が1トン採れてしまったときには、近隣のパン屋さんにたくさん声掛けをしました。なかなかパン小麦の特性が、そのパン屋さんに合わずに買っていただけないところが多く困りました。そんなとき、無肥料自然栽培勉強会で出会った九州パワーグループさんが「全量買い取ります」と言っていただき、本当にありがたかったです。
勉強会でいろんな農家さんに出会い、十人十色だと感じます。それぞれ、得意を伸ばした農業をしています。愛知県の「自然農福の力」の今枝さんが、福祉事業所の方たちといかに仕事をするかを発表してくれました。自然栽培と福祉との相性の良さ。畑では、仕事を細分化することで、どんな人でもできる仕事がある。今枝さんのいろんな人を巻き込む力がすごいなって思いました。たくさんの人が幸せになれる畑です。

小島農園でも、こどもが小さい頃はいろんな人に畑に来てもらいました。イベントもいろいろ企画しました。でも、人が集まるということは気を遣うということ。集客を気にして、天気を気にして、当日の参加者の様子を気にして、作物の生育も気にして、楽しさ、やりがいと比べて、疲れるほうが重くなってきました。そしてゲスト優先、家族への対応が後回しで怒りっぽくなってしまいます。イベントに疲れを感じたころ、コロナの「緊急事態宣言」で外出自粛になり、そこで気づいてしまいました。実は、人に手伝ってもらわなくても家族の力、あうんの呼吸でさくっと仕事が進んでしまうことに。一緒に仕事することで、感謝の気持ちが強くなり、家族がより仲良くなれることに。私たちは研究や探求が好きで、たくさんの人を集めて一気に農作業をするより、いろいろ考えて、機械を利用して家族で農業をするのが合っているということに。

家族であうんの呼吸でビニールハウスの屋根ビニールを張ってるところ。

機械のメンテナンスは夫担当

様々な機械を購入してきましたが、夫が取扱説明書を熟読してメンテナンスをしてくれています。コンバインは作業時間が2時間くらいであっという間に終わりますが、そのあとの掃除に2時間以上かかることがあります。定期的ないろんな部分のオイル交換もしてくれます。例えばトラクターは1000時間が消耗品等の故障リスクが高まるそうですが、先輩農家さんからオイル交換をしっかりすれば大丈夫で、「3000時間乗っているよ」という話を聞きました。メンテナンスをしながら大切に使おうと思いました。
中古の田植え機を譲り受けたのですが、初年度の田植えの途中で4条のうち1条が植えられなくなりました。端の1条だったので、どうにか3条ずつ植えたのですが手間取って時間もかかり、田植えができなかった田んぼが一枚残りました。翌朝驚いたことに、夫がネットで調べて田植え機の爪の部分などを溶剤も使って掃除して、しっかり動くようになっていました。本当に尊敬します。
ハンマーナイフモアやフレールモアなどの草を粉砕する機械は、刃の周りが草と泥がこびりつきます。そのままにしておくと、鉄がすぐに腐食して穴があいてしまうので、すぐに泥落としをするようにしています。水圧で落とすより、ヘラで泥を落とすのが早いことが分かりました。掃除は面倒ですが、できるだけ夫に任せないように自分が作業した日は自分で泥落とすようにしています。さっと手伝ってくれるのがありがたいです。

カテゴリー: 規模拡大