2025年冬播きの麦類の生育が、よく育ったものと育ちがとても悪いものに分かれました。
菌根菌の研究者の千徳さん(アライヘルメット自然研究室)が3/10に来てくれて、うちの畑のいろいろな麦を採取して、土壌分析と菌根菌の確認をしてくれました。千徳さんの土壌診断のデータと麦の作業記録を表にまとめました。(タカの畑は今回土壌診断をしていないので、2023年測定時のデータを使いました。)
麦の生育と土壌診断と菌根菌(AMFとFRE)
※表のAMFはアーバスキュラー菌根菌、FREはFine Root Endophytesで、感染率を示しています。FREは最近発見された新しい菌根菌で、冬の作物に感染するそうです。
リン酸が68.3mg/100mgで基準値(20~60mg/100g)より多いワシの畑では、AMFとFREのどちらも感染が見られませんでした。ワシの畑の一部で生育の悪い小麦があったので、追加で小麦の根を診てもらったところ、AMFとFREのどちらも感染していました。リン酸と硝酸態窒素が小麦の生育が良い場所の値よりも低かったです。硝酸態窒素が高めのヒツジとワシ生育良いでは、AMFが感染していませんでした。
無肥料自然栽培を続けると、特に硝酸態窒素が少なくなってきます。それが菌根菌との共生に影響があると思いました。リン酸の多いワシの畑は、地主さんが耕作していた10年以上前に牛糞堆肥を入れたことがあるそうです。その後8年間は他の自然栽培農家さんが不耕起で耕作していたのですが、リン酸はまだ高いです。
作物に菌根菌が共生すると、作物が光合成で生成した糖を根っこから分泌して菌根菌に分け与えます。そのため、作物は成長に使える糖が減り、少し生育が悪くなります。代わりに、菌根菌の細い菌糸が、土壌の細かい隙間に伸びてリン酸や水分を運んで与えてくれます。雨が降らずに水不足でも自然栽培の野菜が枯れない理由の一つだと思います。菌根菌と共生すると作物の生育が良くなるわけではなく、養分の少ない土壌でも、どうにか育つという印象を私は持っています。
ゾウの畑のライ麦には、AMFがいっぱい。(千徳さん撮影)
キジの畑の小麦にはFREがびっしり。FREは細くて直線的な菌根(千徳さん撮影)
小島農園の近くでは、米→麦→大豆の輪作を続けている14町の田んぼがあります。米のわらをすき込んで、すぐに麦を撒いてもよく育つので、麦は植物残差に強いと思っていました。5年以上、麦の畑の前作にソルゴーを栽培しています。ロータリー播種機を導入してからは、前作のソルゴーを粉砕したあと、1回目の耕耘時に、ロータリー播種機で耕耘しながら麦を播くようになりました。まだソルゴーの粗大有機物が残っている状態で播いても、今までの畑では麦がしっかり育っていました。
ゾウの畑のライ麦がとても生育が悪かったのはなぜだろう?
2025年のライ麦の生育が極端に悪い理由を考えています。今まで10年以上ずっとライ麦の前作は大豆でしたが、2025年だけ夏にソルゴー緑肥を栽培しました。理由は、夏の大豆を続けていたらヒユが増えてしまったので、大豆を1回お休みして、ヒユが種をつける前に刈り取れるソルゴーがいいと思ったからです。11/2にフレールモアで粉砕してから、ライ麦をロータリー播種機で播きました。発芽は揃ったのですが、その後の生育が驚くほど悪くなりました。普通はライ麦は私の背丈より高くなります。
驚くほど生育が悪かったライ麦(前作がソルゴー)
緑肥として播いたライ麦がよく育ちました。小麦を収穫した後、夏場はメヒシバ等の雑草が生えていた畑です。収穫用のライ麦が収穫できなそうなので、緑肥用のライ麦を収穫することにしました。
夏場に丈の短いメヒシバ等の雑草が生えていたヤギの畑のソルゴー
タカの畑の小麦は、緑肥ソルゴーの後、1回耕耘で種まきよりも、2回耕耘したほうが生育が良かった
タカの畑の小麦は、生育が良いところと悪いところが顕著でした。生育が良いところは、9月にソルゴーを粉砕して一度耕耘し、10月の播種時に2回目の耕耘をしたところです。生育が悪いところは、播種前にソルゴーを粉砕して、1回目の耕耘時に種まきしたところです。生育の大きな差を見て、ソルゴー緑肥の後は、麦の播種前に2回耕耘したほうがいいと思いました。タカの畑は、傾斜がある畑です。傾斜の上の方はとくに小麦がひょろひょろでした。
タカの畑 一番生育のいい場所
タカの小麦。まあまあ生育がいいところ。ここは1回耕耘して播いたところ
タカの小麦 傾斜の上の方がとくに生育が悪かった。
硝酸態窒素が3mg/100mgなら、ソルゴー緑肥の後1回耕耘で種まきでも発芽して生育するみたい
興味深いのが、ヒツジの畑の大麦です。
タカの畑の生育の悪かった小麦と同じく、ソルゴー緑肥の後、1回目の耕耘で播種したのですがとてもよく育っています。窒素飢餓が原因だとすると、ヒツジの畑の硝酸態窒素が3mg/100mg で、タカの畑が2mg/100mgだったという小さな違いかもしれません。
ヒツジの畑の大麦
前作が大豆で播種日が12月になるときは、播種量を多くした方がいい
前作が大豆の2つの畑(ワシとキジ)でも、発芽に大きな違いが出ました。播種日は1日違いで、播種量も同じなのに、ワシの畑ではすぐに発芽してよく育ったのに対して、キジの畑では2月になってようやく発芽しました。2つの畑は300mくらい離れていて、どちらも田んぼの隣で、水が集まるところにあります。キジの畑で2020年11月上旬に播いた小麦はしっかり発芽して生育していたので、こんなに発芽しなくて驚きました。土壌診断から分かることは、ワシの方がリン酸、硝酸態窒素、石灰ともに高いです。発芽には関係ないと思うのですが、どうしてこんなに違うのでしょうか。
ワシの畑の小麦 3/11わさわさに育っている
キジの畑の小麦、3/22ごろようやく発芽した
6/5 収穫日のワシの畑の小麦
6/19 収穫日の記事の畑の小麦。イタリアンライグラスに埋もれている
大豆の後作で12月に播種するときは、発芽率が悪いことも想定して、もっと播種量を多くしようと思いました。2018年のヤギの畑でも、播種量が少なくて大寒波で麦が消えて収量が減ったことがありました。
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