畑の便り vo.67 2017/11/24

宅配のお客様にお届けしている畑の便りを久しぶりにアップします。

小雪 [しょうせつ]、虹蔵不見[にじかくれてみえず](日差しが弱まり、虹を見ることが少なくなります)

毎号、二十四節気と七十二候を書いているのですが、季節の移り変わりを上手に表していると感心します。23日は雨の後にさっと晴れたので、もしかしたら虹が見えるかもと思いました。でも見えなくて、家に帰ったらカレンダーに「虹蔵不見」と書いてありました。他にも、ツバメが渡ってくる頃、ツバメが帰っていく頃とか、雷が鳴り始めるころとか、たくさん面白いものがあります。

11/23は、百姓にとってはありがたい「新嘗祭(にいなめさい)」です。五穀豊穣を神様に感謝する日です。天候不順にもかかわらず、今年は麦もお米も豊作でした。作物を作っていると、日が照れば作物が育つのでありがたく、雨が降ってもありがたい、感謝する気持ちが多くなります。そして、台風などがくるとただ受け入れるしかない。これが人間がしたことなら怒るところですが、自然がすることは受け入れるしかない。こういうことを毎年繰り返すうちに、心持ちが以前と変わってきたように思います。あるものを感謝して、受け入れることができるようになってきます。

11/8 にお米の豊里を脱穀しました。この日も4人お手伝いに来てくれたので、どうにか作業を終えることができました。まだ籾付なので推定ですが、玄米にして400㎏収穫できました。豊作です!11/23、新嘗祭の日に新米を味わいました。噛むと押し返してくるような弾力、こどもが何回もお替りする味でした。豊里はご希望の方に5kg 4000円で販売します。

お米の脱穀

お米の脱穀

りゅうの畑と、田んぼの鳥瞰図

りゅうの畑と、田んぼの鳥瞰図

大豆の収穫をはじめました。トップバッターの羽生在来赤大豆は40kg収穫することができました。味わい深く、色のきれいな大豆です。借金なし大豆も順調です。水曜日と土日は大豆の収穫日、ご都合つく方ぜひ畑にいらしてください。

11月下旬には、ニンニクと玉ねぎの定植もしました。新しく借りた「かめ」の畑です。50年は使っていなかったという、草が生えては枯れ、生えては枯れと自然栽培にはありがたい地力の高い畑です。大雨が降ると洪水になり、作物が全滅する可能性があります。水が好きな玉ねぎとにんにくのために借りました。

この秋からマルチを張るための「マルチャー」というアタッチメントを使いました。今まで手でマルチを張るときは、ロープを2本張って、それを目印に鍬で土を外側にどかして、マルチを張って、土をマルチに掛けるという作業をしていました。1本20mも張れば、かなり疲れます。が、マルチャーを使うとあっという間に20m張り終わってしまいます。10本の畝にマルチを挽くのもあっという間でした。

マルチを張っているところ

マルチを張っているところ

飯能にお住いのフランス人、ジャンフィがちょこちょこ畑に来て手伝ってくれます。小島農園では、あちこち旅に行かなくても、みんなが来てくれるので畑で十分楽しいなって思います。玉ねぎを植える日には、合計6名の方が手伝いに来てくれて無事すべて植えることができました。本当に本当にありがたいことです。

玉ねぎの苗

玉ねぎの苗

玉ねぎの定植

玉ねぎの定植

さて、今年の秋冬野菜について、ご連絡したいと思います。

虫食い少なく、よく育っている大根

 大根がすくすく育っています。毎年、「芯くい虫」に中心の新芽を食べられることがあって、芯くい虫取りを1本ずつするのですが、今年は時間がとれなくて放置していました。ところが、芯くい虫でダメになる大根はほとんどないです。なんでだろう?ととても不思議に思っています。ライ麦の跡地なので、なにかいい効果があったでしょうか。

緑肥のエン麦に埋もれてしまった春菊とほうれん草

 今年の大失敗は、夏の間緑肥として育てていたエン麦です。今まではソルゴーを育てていたのですが、今年は土の中のセンチュウという虫をやっつけてみるかとエン麦にしたのです。実る時期がはやく、刈り倒す時期が遅れてしまい、しっかり種がついてしまいました。9月上旬に白菜などを播くために耕耘したところで、数日後に無数の麦の芽が。「なんだこれ?あ、エン麦だー!やってしまったー!!!」とがっくりしました。生育のはやいタケノコ白菜や苗で植えたブロッコリーのところは、まったく問題ありません。ところが、春菊とほうれん草はエン麦に埋もれてしまいました。ほうれん草は、乾燥を好むそうで、10月の長雨で溶けてしまったものも多かったです。

エン麦に埋もれた春菊

エン麦に埋もれた春菊

きつねの畑では、ヨトウムシが大発生

 エン麦が影響しているのか分かりませんが、今年は白菜、山東菜、タケノコ白菜に、ヨトウムシの幼虫が大発生しました。防虫ネットをかけているにも関わらず、土の中にいたのかネットの中で繁殖しているところもありました。強い霜がおりて、結球しない山東菜に棲んでいたヨトウムシが死んでいるのを見つけました。よく巻いてるタケノコ白菜は、中が温かくて生き延びると思います。こんな散々なきつねの畑なのですが、端に巻いた大根がよく育ってくれているので救われています。多品種栽培していると、全滅することはないのです。

ずぼずぼと足がもぐったシカの畑では、チンゲン菜とキャベツがすくすく

 長雨と台風の影響で、シカの畑は歩くとずぼーっと足が膝まで潜ってしまう状態が2週間続きました。これではお野菜も腐ってしまうのかととても心配しました。チンゲン菜、キャベツ、木曽紅カブは良く育っています。お野菜の逞しさにほれぼれし、天の恵みに感謝します。キャベツは12月のお野菜が少ない時期に活躍してくれそうです。先日第1号を収穫して食べたところ、とても甘くて、芯まで甘くておいしかったです。去年は、なぜか芯が苦かったのですが。お楽しみに。

キャベツ初収穫

キャベツ初収穫

虫が少ないシカの畑

 シカの畑では、菜花用にと防虫ネットをしないで白菜、ルッコラ、のらぼうを育てています。菜花用なら、葉っぱに虫食いがあっても出荷できるのです。白菜は特に「芯くい虫」に弱いのですが、ほとんど芯くい虫がいなく、黒いナノクロムシもいなく、虫の被害が少ないのが嬉しいです。畑の状態によって、虫が来るそうなので、肥料っ気の少ないところがいいのかもしれません。きつねの畑はちょっと肥えすぎているのかな。

むらのあるキョンの畑

 キョンの畑は、2016年の春に借り受けました。もう10年くらい肥料も与えず、伸びた枝を刈っていただけだそうです。お茶の木を全部抜いて燃やしました。2016年は、大豆、高キビなどを育て、2017年夏もエン麦を育て土づくりをしました。もう大丈夫かなと思って、2017年秋冬野菜を育ててみました。
 自然栽培ではよくあることですが、18mの畝の中で育ちが違います。よく育つところ、まったく育たないところがあります。山東菜でよく育っているのは、お茶の木を燃やしていた穴のあたりです。灰はできるだけまき散らしたのですが、やっぱり育ちが違います。
 人気のある赤リアスからし菜とルッコラも18m播いたのですが、驚くことに本葉1枚で成長が止まってしまっている部分が多かったです。火を燃やしたところらしい2mくらいだけよく育ってました。ルッコラや赤リアスからし菜は育たないのに、次男が播いたラディッシュは良く育ちました。

苗を作った高菜3姉妹がよく育ちました

 8月に先輩農家さんの前を通ったとき、苗が置いてあったので尋ねたところ、「高菜は大きく育てたいから苗を作っているんだ」と教えてもらいました。小島農園でも2015年にこぶ高菜を育てたときに、種を播きすぎたこともあり、なかなか大きくならず、「こぶ」ができませんでした。真似して苗を作ってみたところ、驚くほど大きく育ちました。キョンの畑は、生育にむらがある畑なのに、苗で植えたブロッコリー、かつお菜、こぶ高菜、サニーレタス、子持ち高菜は、むらがなく育っています。種で播くことと、苗を作って育てることの大きな違いに氣がつくことができました。苗を作るのは、毎日の水遣りがとても大変なのですが、結果をみて来年以降も続けたいと思いました。

こぶ高菜

こぶ高菜

左から、かつお菜、こぶ高菜、サニーレタス

左から、かつお菜、こぶ高菜、サニーレタス

様々なカブが育っています

日本には、たくさんのカブがあります。小島農園では、飯能生まれの「みやまこかぶ」、木曽紅カブ、飛鳥あかねカブ、日野菜カブ、津田カブ、矢島カブ、万木カブ、本丸紅カブを育てています。色も形も違う、それぞれ個性的なカブです。

9月中旬から下旬にかけて、キョンの畑に播いたカブが大きくなってきました。カブは、あんまり大きくならないほうが味が詰まっていておいしいと思います。

霜に当たって甘くなる野菜、苦くなる野菜

 霜に当たって、小松菜、キャベツ、山東菜などアブラナ科の葉物が甘くなってきました。山東菜は、1株ずつ味見をしながら袋詰めしています。葉っぱに茶色の斑点があるものは、すぐに黄色くなる葉っぱで、普段は取り除いています。試しに、その葉っぱを食べてみたところ、驚くほど甘くておいしかったです。全部の山東菜が同じように甘いわけではなく、不思議に思っています。この甘い山東菜だけ選抜できたら、特別な小島山東菜ができそうです。難しいんですが。
 春菊とサニーレタスが苦すぎて飲みこめないほど苦くなりました。きっと寒さで枯れてしまった味なんだと思います。サニーレタスは、春にまたふわっと大きくなるのでそのときに出荷できればと思います。

カテゴリー: 畑のお便り

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