育苗ハウス内ハウスの作成

育苗ハウス内に中で人が立って作業できるくらいのビニールトンネル、規模的にはハウス内のハウスを作ろう、というのは前々からの計画でした。あまり手間をかけず、苗のいる空間の温度の緩衝能力を高めるのが目的です。簡単に言えば、夜温が下がらないようにするのが狙いです。

2/22 (土) から、このハウス内ハウスの作成をしました。

【一日目、以前】

先週金曜日、そろそろ作成に取り掛かるか、と設計を検討中、直管パイプではなく竹で作るといいんじゃないか、ということになりました。雪害によりハウスの倒壊が相次ぐ中、供給不足が懸念されるハウス資材をうちで購入してしまうこともない、と考えました。また、何事においても、できれば天然の資源を使うようにしたいというのが元々の考えでした。竹の入手先のあてもありました。

その経緯については本筋ではないのですが、少し触れておきます。これはまったく偶然なんですが、1 月、長男を連れて消防団の出初式を見に行ったとき、長男の大好きなお姉さん KT さんも見にいらっしゃいました。今年初めて見にいらっしゃったとのこと。その日、小島農園では、人を招いて大豆の脱穀、選別の作業をやっていました。KT さんをその作業にお誘いすると、その日はご自宅の裏山の竹を伐採する予定だとのことでした。夕方、大豆の脱穀、選別が終わった後、長男と次男を連れて KT さんのご自宅に伺ってみたら、KT さんが、お父さんと弟さんと、そしてこれまたうちの子ども達とよく遊んでくれるお兄さん SO さん、の四人で、裏山の竹を伐採していました。なので、少しだけお手伝いさせていただきました。まあ、長男が手伝う、ということは KT さんの労働力をそぐことになるし、私は次男を抱いたり面倒を見たりであまり戦力にならず、かえって邪魔しただけだったかもしれません。お話によると、切った竹は積んでおいてそのうち燃やすだけ、ということでしたので、使いたいと思うのでそのうちもらいにきます、ということだけお伝えしておきました。

話は戻って金曜日の夜。思い立ってすぐ、KT さんに連絡を取ったところ、持って行っても大丈夫ですが積んだ竹の上に雪が残っていますよ、とのことでした。KT さん自身は午前中用事があるとのことでしたが翌日、朝 9 時から作業させてもらうことにしました。

【一日目、2/22 (土)】

で、土曜日。朝 9 時、T 家邸宅へ。2 階建ての建造物(ガレージ兼作業小屋でしょうか)の裏側に積んだ竹の上、そして周りにはけっこう雪が残っていました。建物の北側になるので仕方ないですね。竹にアクセスする前にまずは除雪です。KT さんも 10 時からの用事があるとのことでしたが、「一緒にやりましょうよ」と雪かきを手伝ってくれました。素敵。もちろん、長男は大喜び。前日届いたソリで、積んだ竹のおかげででいたスロープで滑って遊んでいました。ちなみにソリは、大人二人が乗れるジャンボサイズを二つ購入したので、両方持ってきました。

竹が取れるようになった辺りで習作作りも開始。小島農園流の「いろいろな要素を事前に考慮して議論しておいてもわざと粗く設計、あとは現場で動きながら柔軟に決定」というよく言えば臨機応変な、悪く言えば行き当たりばったりなスタイルが発揮されまくりで、その場にある竹の太さ、長さ、量、加工容易性、強度、チャベス号(軽ワゴン)で運べるかどうか、などを勘案し、実際に組んで確認しながら進めます。私はビバホームに走って(チャベス号で)、竹割りを購入。四つ割と六つ割が売っていましたが、四つ割を選択しました。

竹割りで竹を割いているところです。節を突破するたびにポン、ポンと軽快な音がして楽しいですね。つい必要もないのに割りたくなります。

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竹割りで 4m の竹を四割りに

アーチ一本分の習作です。悪くない印象です。こんな感じで奥行き方向にアーチを連ね、奥行 7m 強のハウス内ハウスを作る計画です。

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習作で確認

KT さんが 10 時に出発した後も作業を続けさせてもらいました。途中、ついでに竹の周りの雪を、すでに雪が融けていた竹林の方に投げて融けるようにしたりもしていました。11 時過ぎ頃、KT さんのお母さま、弟さん、妹さんが表側の除雪を始めました。除雪、というより、生活ができるように端に積んでいた雪を崩して融けるようにする作業ですね。屋敷が広いと除雪面積も広くて、また今回の雪だと体積が半端じゃないですね。1 時間くらい一緒に雪融かし大作戦のお手伝いをさせていただきました。ともかく雪を捨てる場所がないので大変。なんとなく持って行ったシートの上に雪を乗せてお屋敷の前の道路まで引きずって行って撒いたりもしました。ちょっとはお役に立てたかな。
そうこうしているうちに KT さんも帰宅。後から SO さん(第一王子が好きなお兄さん、再登場)もやってきました。

夕方、切り出した竹を 2 回にわけてチャベス号で「くまの畑」まで運びました。その間、SO さんが第一王子とソリで遊んでくれました。つれあい曰く、百回は引き上げ、押し出し、してくれてたそうです。ありがたいことです。
結局、T 家を後にしたのは午後 5 時半過ぎでした。まる一日、お邪魔致しました。ありがとうございました。

【二日目、2/23 (日)】

明けて日曜日。育苗ハウス内にハウス内ハウスを作っていきます。

まずは育苗ハウスの中のものをすべて外に出しました。まだ作業ハウスがないころに過ごしていたころの遺跡が発掘されて懐かしく思ったり。
育苗ハウスの床には、乾燥や脱穀をした関係で、稲やらキビやらアワのワラとか、豆類のさやとか、まあいろいろ散乱していました。大きいものはあまりないんですが、掃除は面倒だな、と。温床枠の片付けもどうしようか、という感じでした。いちばんの問題は、昨年の春に踏んだ落ち葉の処遇です。秋ごろから、畑のどこかに積んでおこうか、出元である明石農園の林に返そうか、燃やそうか、などと議論していましたが、結論を引き延ばしたまま、今どかさなければならない、という日を迎えてしまいました。明石誠一さんには「何事も段取りです」と何度も教わったのに、まったく身についていない駄目研修生です。

で、怠惰な農婦と農夫はどうしたか。これらの問題を短時間で一気に解決する方法を思いつきました。細かいゴミ(小島農園産植物の残さ)は片づけずにむしろ散らし、落ち葉はハウス内に撒く、そして耕耘機で耕耘しちゃうという手です。すき込んで問題のあるものはありませんし、若干柔らかくなりすぎるものの、土がほぐれて柱を埋める作業も楽になります。すき込んだ有機物が発酵すればハウス全体が発酵熱の恩恵を受けるかな、とか。いかにも小島農園流の解決策です。

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育苗ハウス内の耕耘

耕耘が済んだら柱を立てていきます。穴をあけて 40cm に切った 65Φ の塩ビ管を 30cm 分埋めていきます。柱になる竹の腐敗を遅らせるために直接土に触れないようにする策です。穴の底には竹チップを敷き詰めました。次男は穴を見ると入ったり埋めたりしたがりますので、おとりの穴も空けました。次の写真はおとりの穴を空けている私と、そのそばから埋めている次男の図です。

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柱用の穴掘り

柱はサイドと奥に 80cm の通路を確保しました。アーチの間隔はその場でいろいろ検討して 95cm としました。奥行き方向に 9 本入れることにしましたので、奥行 7.6m ですね。幅は 4.4m くらいだったかな。まあこの辺は竹を使うとアバウトでどうにでもなりますのでちゃんと測っていません。

片側の柱をあらかた立てて二日目は終了です。早めに切り上げて所沢の温泉に行きました。

【三日目、2/24 (月)】

三日目、何やったっけかな。写真撮っていません。
両側の柱を一通り立て、柱に四つ割りした竹を差し込んでアーチにしていきました。

アーチ同士をつなぐ奥行き方向の補強をどうするか、事前にもいろいろ検討しましたが、実際に組んだものの強度を見ながら、アーチにした竹の根元(柱にした竹のすぐ上)を丸のままの(割っていないという意味)竹でつなぐのがいいのではないか、という結論に達しました。まあ、育苗運用中に強度的に問題があれば適宜補強していけばいいわけです。ここまで触れていませんでしたが、ハウス内ハウスの構造物はできるだけ薄く、細く、少なく、することが重要です。理由は日照です。育苗において柱などが作る影の影響は馬鹿になりません(と考えています)。

2/25 に長男が撮ったショットですが、この奥行き方向の竹とアーチの接続部がわかる写真があったので載せておきます。

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アーチと水平方向の竹の接続部

仮にポリもかけてみました。昨春、ビバホームで買った 210cm 幅のポリですが、薄くて弱くて使い物にならずにお蔵入りになっていたものが、ここで役立ちました。アーチ間が 95m ですから、二つ分を一枚で覆うようにしてみました。
それにしても、一年やってきて、道具が揃ってきているのを実感しますね。部材も何かしら使えるものがあります。今回は竹割りを購入しましたが、部材については新たに購入しなくても作れそうです。直管パイプも道具として、部材として適宜使っているのですが、適当なものがゴロゴロ転がっています。長すぎるものは必要に応じて切ればいいし。マイカー線も、誠一さんと千葉のハウスを解体したときにとりあえず拾ってきたものが役に立っています。

天頂に割った竹を通してアーチを接続しました。アーチの間隔、奥行き方向に入れる通しの竹、もこれだけで大丈夫そうです。大丈夫そう、というのは強度の面と、上にかけたポリのたるみ具合の面、です。薄いポリは軽くてちょうどいい感じです。このために買っておいたのか、みたいな。

【四日目、2/25 (火)】

四日目、火曜日。この日ハウス内ハウスに割いた時間は少ないです。ほとんどはなおちゃんがやってくれました。

そうそう、前の晩寝ているときに、ポリは奥行き方向にかけたらどうかな、と思いました。朝実測してみると、天頂から肩に通した竹までが 200cm 弱、ということは、天頂から垂らせば肩まで届き、肩からは別のポリを垂らせばちょうどいいという感じです。肩の竹が地上 140cm くらいになっているので、留め代を考えても 210cm 幅のポリはちょうどいい感じに裾に余りそうです。計算しつくしたかのようなピッタリ具合です。
奥行き方向にポリを使うことで、妻面の処理も簡単になりました。屋根のポリをそのまま両妻面に垂らすことにしました。屋根には 2 枚のポリをポリ補修テープでくっつけたものを使うことにしましたが、正面はくっつけずに垂らせば左右に分けて入る入口になるわけです。ほんと、計算ずくのようで怖いです。

サイドのポリも張って形になりました。次が育苗ハウス入口からハウス内ハウスの正面を撮った写真、および、ハウス内ハウスの奥から入口方向を撮った内部の写真です。

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正面から見たハウス内ハウス

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内側奥から見たハウス内ハウス

写真ではまだ南サイドのポリが張っていませんが、これも完成させてから帰宅しました。内部からの写真を見るとアーチの歪みっぷり、不揃いぶりがよくわかりますが、あまり問題ありません。
一通りポリを張り終えると、それだけでもうほんわか暖かくなるんですよね。もう日が傾いてきていたのに。すごい威力です。

【五日目以降】

サイドの巻き上げを工夫したり、天頂の竹を育苗ハウスの天頂パイプで吊ってみたりとか、ちょこちょこ手を加えています。今後も、入口を工夫したりとか、運用しながら使いやすくしていくことでしょう。

さ、たくさんいい苗作るぞー。

カテゴリー: 農場

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