化学物質過敏症 事例4.小学校の柔軟剤の匂いで学校に行けなくなった

日高市のお野菜のお客さんに、小学校に通えなくなった兄妹がいます。E君とFちゃんと仮称します。
小学校に通っているうちに、同級生の服の(柔軟剤や合成洗剤の)匂いで体調が悪くなるようになり、学校に行けなくなりました。

2022年8月にインタビューしたときは、まだ学校に通っていました。お母さんとE君とFちゃんが軽度の化学物質過敏症で、特に市販の合成洗剤と柔軟剤の匂いで体調不良(頭痛、吐き気、倦怠感)が起きるそうです。学校では、学用品に匂いがつかないように、二人とも担任の先生の許可をもらって、クラスメイトとは別のところに置かせてもらっているそうです。それでも匂いはついてしまいますが、前よりましになったそうです。

インタビューしたころには、Fちゃんが「もう一生学校に行きたくない」と言い出したそうです。理由を聞くと、「周りの子の匂いで体調が悪くなったり辛いから」とのことでした。友達とは仲良くしたいけど、特に匂いのする子が近くに来るだけで、つらくて逃げ回っているそうです。そんなことはつゆしらず、友達は追いかけてくるそうです。この友達は嫌いではないけれど仲良くできないとのこと。E君も仲の良い子に「この子だけは無理」という(柔軟剤の)匂いのきつい子がいて、「仲良くしたいけどなるべく近寄らないでいる」と話していました。

お母さんも仲良くしたいママ友の匂いで体調が悪くなって長時間は一緒にいられないそうです。二人とも毎日辛い思いをしてかわいそうだけど学校に通っていて、気持ちがわかるので、無理に「学校に行きなさい」とは言えず、「どうしても辛かったら休むという選択肢もあるね」と伝えたそうです。

お母さんが次のように言っていました。「化学物質過敏症を発症していなくても、化学香料をずっと嗅ぎ続けていると、匂いに慣れてしまい匂いを感じなくなってくるけど、脳が常にストレスを受けているので、判断力が下がったり、精神的な落ち込みなどが起こると言われている」とのことです。

ぜひ、教職員と保護者の皆さんなど、なるべくたくさんの方々に、このような事実があることを知ってもらいたいとのことです。

E君とFちゃんは、その後学校に行けなくなり、家で勉強をすることになりました。学校にお願いして授業をZoomで視聴しているそうです。ビデオがずれて見えなかったり、何か言っても聞いてもらえなかったり、Zoom授業は難しいことも多いようです。ずっとZoom授業を聞いているとすごく疲れるそうです。体育や音楽などは参加できません。マラソン大会の日は、屋外だから匂いはそこまでひどくないと思っていたら、待ち時間などで人が密集するときにとても臭かったそうです。週に1回、放課後に学校に勉強したものを持って行ってみてもらったり、配布物をもらうそうです。放課後でも学校はとても臭いそうです。

化学物質過敏症に対する学校側の対応はまだ十分ではなく、家で勉強するようになって数か月くらいはZoom授業を受けているにもかかわらず出席扱いにしてもらえなかったそうです。中学校受験でも、出席数や成績評価がかかわる場合に、ほかの子と同じような判断をしてもらえなくなるのが残念です。

思ったこと

匂いは年々強くなっているので、いつのまにか体調が悪くなっている子も少なくないと思います。体調悪化の例として、頭痛、腹痛、うつ症状、ハイテンション、物覚えが悪いなどなど多岐にわたります。

うちの子、小学生になってから人が変わってしまったようだと思ったら、人間関係以外にも原因があるかもしれません。そして、学校での人間関係でメンタルが落ち込んだときは、内臓の機能が低下するので、化学物質を排出する力も弱まり、化学香料の影響を強く受ける可能性もあります。

学校に行きたくても行けなくなった家族に対しては、校長はじめ、教育委員会など、ルールを決める権利を持つ方々に、できるだけの配慮をしていただきたいと思います。柔軟な配慮をしている学校もあれば、「規則なのでできない」と拒否する学校もあるようです。校長先生には、大きな決定権があると感じています。

学びたい子が、学ぶことはこどもの権利です。それは憲法で保障されています。化学物質過敏症の家族は、これからどうなるんだろうという不安とともにあり、こどもを守るため、必死になっているので、学校関係者とうまく話し合いができないこともあるかもしれません。こどもたちのため、できる限りの配慮をお願いします。

カテゴリー: 化学物質過敏症

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