畑の便り 2019年12月20日

 2019年も残り10日となりました。今年の冬野菜は、長雨が続く悪天候でしたが、水はけのよい畑に助けられ、そしてやっぱり自然栽培の逞しさのおかげか、例年通り、白菜は例年より多く出荷することができました。お客様の「おいしかった」、「今年の白菜は大きいね」など、一つ一つの感想がやりがいになっています。いつも喜んで食べていただいて嬉しいです。

 冬の葉物は、5年間ずっとキツネの畑で作っていました。桑畑だったので、2013年に農業を始めたときに、桑を抜くことから始めました。毎年桑の枝を切って根元に重ねていたこと、お蚕さんの糞をもどしていたことなどで、土はふかふかで腐植に富んでいました。養蚕業は明治のころから隆盛を誇っていたそうで、少なくとも50年以上は桑畑だったと思います。2014年、2015年には、大きな白菜やキャベツが収穫できました。冬葉物4年目から、虫害が増えました。2017年にはヨトウムシに穴だらけにされました。2018年には12月中旬からハクサイダニが蔓延して外側からどんどん枯れていきました。

 「畑を変えよう!」と思い、今年は今まで冬葉物を作っていない、ウシの畑(元茶畑で、前作は小麦)と、リスの畑(元桑畑で3年くらい夏野菜を作っていた)にしました。リスの畑は、ヘアリーベッチという緑肥を育てた区画と、夏の枝豆を育てた区画がありました。どちらも顕著な違いはなく、予想より良く育っています。よく育っている理由の一つが苗だと思います。苗は、草木を積んで土に戻した「堆肥」をたっぷり使っているので、初期生育がいいのです。そのため、そこそこの畑でもよく育つようになります。虫害もほとんどなく、久しぶりにきれいで大きな白菜が採れました。一番大きいものは2.7kgありました。キャベツも育てていますが、例年よりゆっくり育っていて、1月に出荷予定です。

大きく育った松島新2号白菜

大きく育った松島新2号白菜

 ウシの畑は、周囲から水が集まる畑だったので、長雨と台風が続いたときには、滞水し、2週間くらいは歩くと足がずぼーっと土に埋まる状態が続きました。一番水路に近いところ(長雨がなければ一番育つと思ったところ)に播いた松島新2号白菜は育ちが悪かったです。白菜の隣に播いたタケノコ白菜はとてもよく育っています。12月に入ってタケノコ白菜の甘さが際立ってきました。
 防虫ネットを張っていても「ダイコンサルハムシ」は入ってくることがあります。幼虫が小さいからかな?興味深かったのが、11月下旬にとても寒い日が続いてから、ダイコンサルハムシの食害が収まり、新しい葉っぱは食害のないきれいな状態になったことです。チンゲン菜を2列作っていますが、1列は防虫ネットの中でダイコンサルハムシが増殖してしまい、出荷できない状態でした。でも12月に入って「あ、出荷できそう」と思い、収穫することにしました。9月上旬に播いたチンゲン菜は大きいものは800gくらいの大きさに育っています。外葉を10枚くらいむいて、中心のおいしいところだけにして袋詰めしています。
 大きく育った葉物は寒さに強いなって思います。12月上旬に0℃くらいに冷え込みました。小さい小松菜はほとんどの葉っぱが霜で変色してしまい、出荷できなくなりました。他の畑の大きく育っていた小松菜は、中心部は大きな葉っぱに守られて青々としていました。この大きく育った小松菜、実は出荷時期に虫害が多くなって出荷をやめていたものです。小島農園のチンゲン菜、大きいなと思った方多いと思います。チンゲン菜って、すごく大きくなるものなんです。でも、スーパーでは小さい方が喜ばれるから、日本では2つか3つで200gくらいの大きさのを販売しているのだと思います。冬の寒さに耐えるように大きく育てないとと、9月上旬に播いて大きく育てています。

 アブラムシも興味深いです。アブラムシは冬は温かいところが好きなようです。よく山東菜についていました。今年は山東菜についたのは少ないです。違いは、間引きをして株間を広めにとったこと。山東菜は例年3回くらいに分けて播きますが今年は1回だけ播きました。出荷が追い付かずに混みあって育つ畝があと、アブラムシが増殖します。特に11月になって冷え込んだとき、防虫ネットで少し温かくなったところに逃げ込んできます。そして今年は、「今、防虫ネットを開けないとまずいぞ!」っと思ったときに、防虫ネットを開けることができました。他の野菜も防虫ネットを外したのですが、数日の差で遅くなった水菜とタアサイでアブラムシが発生しました。水菜では蔓延していました。タアサイの一部に大発生していたアブラムシが、なぜか今になっていなくなっています。隣の水菜にいどうしたのか?今までこんなことなかったのに。不思議に思いながら、タアサイを収穫しています。
 防虫ネットを張るのは大変なので、できるだけ張らないようにしています。虫食いが少ない(のらぼう、ほうれん草、春菊)もの、虫食いがあっても育つもの(9月10日播きの大根)は防虫ネットを張りませんでした。でも、防虫ネットをすると虫だけでなく、強い雨で土が叩かれて締まってしまうのを防げるので、来年以降は全部防虫ネットをしようかなと思いました。9月上旬に播いた源助大根は防虫ネットをしていたのでとてもよく育ち、9月10日に播いた三浦大根は、雨に打たれたりシンクイムシやナノクロムシに食べられたりと生育が悪かったです。自然栽培では、土ができると虫がでなくなるというのですが、虫が出なくて野菜はよく育つ畑に、いつたどり着けるのか、日々研究を続けたいと思います。

 12月中旬に、すべての大豆の脱穀が終わりました。今年も埼玉在来5色大豆を栽培しました。借金なし大豆がいちばん粒ぞろいでした。羽生在来赤大豆は、形がいびつなものが多かったです。ありがたいことに、納豆屋さんや農家仲間から大口の注文をいただき、そして味噌作り用と小島農園で販売する納豆用の大豆を確保し、常連さんの注文を受け付けて、「大豆足りない!」っていう状態になりました。12月のうちにほとんどの大豆を出荷できるなんて嬉しいです。

大豆の収穫 刈払機で歩きながら大豆を刈る丈ちゃん

大豆の収穫 刈払機で歩きながら大豆を刈る丈ちゃん

大豆の収穫

大豆の収穫

 我が家の猫が、ネズミを捕まえるようになりました。7月にやってきた子猫ちゃん、母猫から獲物を捕まえる方法とそれを食べる方法を学んできたようで、バッタやヤモリ、小鳥やネズミを捕まえて食べるようになりました。それを見た先住者のゴマちゃん(1歳)が、捕まえた獲物を食べるようになりました。うちには、ネズミが好きなお米がいっぱいあるので、ネズミを捕まえてくれる猫は本当にありがたい存在です。

 一年が無事終わろうとしてほっとしています。10月からは、出荷、稲刈り、大豆の収穫、玉ねぎの定植、麦の種まきと、終われるように仕事をしていました。たくさんの方が手伝ってくれて本当に感謝しています。実り多い年となりとても嬉しいです。今年失敗したこともいっぱいあるので、来年はどうしようか?考えるのも楽しみです。みなさまにとって幸せの多い年となりますように。

カテゴリー: 畑のお便り

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