2019年1月26日(土)27日(日)に東京ビックサイトで無肥料自然栽培勉強会が開催されました。
もう10年くらい開催されているでしょうか。小島農園では、2013年から毎年参加しています。
2013年 明石農園さんの研修生として丈ちゃんが参加
2014年 直子が参加 「思いが集った無肥料自然栽培勉強会」
2015年 長女が生まれそうなので、丈ちゃんが参加
2016年 丈ちゃん参加
2017年 夫婦で参加 「無肥料自然栽培勉強会に参加しました」
2018年 夫婦で参加 「無肥料自然栽培勉強会2018の様子」
目的、参加条件、日程
無肥料自然栽培の開催要項には、次の目的が書いてあります。
~中略~
こうしたなか、無肥料自然栽培の普及を願う有志によって勉強会を開催し、各地での活動における成果や失敗例、今後の課題等の共有を試みることにいたしました。
1. 参加者それぞれが今後進むべき方向を考えるきっかけを作る
2. 無肥料自然栽培の各地域における普及定着を促進する
3. 全国に点在する無肥料自然栽培に携わる方々の強固な関係づくり
4. 栽培技術の向上
上記4 点を主な目的とした勉強会です。
参加対象者は次の方です。
無肥料自然栽培に一部でも生業として携わっている生産者、
また、今後生業として本気で栽培を考えられている生産者
またすでに携わっている小売業者、他業種、学識者等
勉強会は公募していなく、すでに勉強会に参加している人の紹介によって参加者を募集しています。私も、この人はという人に声をかけています。知らない方に参加したいと言われたときは、推薦していません。事務局にお問い合わせしてくださいとお返事しています。
日程は次になります。
- 矢野 智徳氏 講演会(一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり 代表理事)
- パネルディスカッション
- 発表
- 明石農園 明石誠一さん
- 香純の金ゴマ 鈴木香純さん
- 有限会社マキイさん
- 有限会社 サン・スマイル 松浦智紀さん
- お茶の善光園さん
- 弘前大学 杉山修一先生(急遽決定!)
- ファシリテーション
参加費2万円は安すぎる!充実の内容でした
詳細を書いていたら長くなったので、結論を先に言います。この勉強会は自然栽培を本気で取り組む全国の農家、本気で普及したい流通、小売業、そして研究者が参加するとっても濃い勉強会です。
講演会、先輩の発表、飲み会、ファシリテーションで、たくさんのことを学べます。栽培技術はもちろん、自然栽培を続けるための心持ち、経営について、販売については流通のプロの考えも聞けます。
新規就農したときには、自然栽培60年の北海道の秋葉和弥さん、お米がおいしい宮城県の成澤さん、本に出ていた北海道の折笠農場さんと、普通は話すこともできない方たちに出会い、励ましの言葉をかけてもらうことができ、とても嬉しかったです。大先輩のみなさんは、後進を育てるために来ていらっしゃるようです。1日目の懇親会など飲み会もとっても楽しみにしていらっしゃるようです。毎年、勉強会でやる気を満タンにしています。多くの自然栽培農家さんは、全国に自然栽培が広まるようにと志高く、清廉なところも素晴らしいです。いつもできるだけ技術情報を伝えたいとレポートもいっぱい書くのですが、それも勉強になりますとみなさん褒めてくれるので嬉しいです。一人農業で頑張っている人、地域で自然栽培は自分だけという人もいて、仲間に出会えるのも嬉しいようです。うまくいかないことがあってもあきらめずに自然栽培を続けてきた先輩方の姿や考え方を知ることで、自分も頑張るぞって思えます。
3年目くらいから、栽培で困難に向かったときの技術情報を得たり、地域の人と仲良くするための心持ちなども、直接聞かなくてもうまくやっている先輩たちから知ることができました。新潟自然栽培研究会のみなさんと出会えたのも宝です。そして、同期の京都のRedrice農園さんと岐阜の和ごころ農園さんには、毎年会うのが楽しみです。Redrice農園さんすごいんです。夫婦でしっかり稼いでいます。4年目くらいから、新規就農者にアドバイスをする側になってきました。畑の見つけ方、初めのころの農作物の売り先、野菜の栽培についても。
私は、青森の杉山先生に会えるのがとっても嬉しいです。とっても頭がいいのに温厚な人柄で大好きです。そして、次々と自然栽培のことを研究してどうしたらうまく栽培できるのか、みんなに伝えてくれます。
毎年講演会がありますが、講演会も毎年いろんな方がためになる話をしてくださいます。今年の矢野さんもとても勉強になりました。
自然栽培を続けるコツですが、
- 将来の明確な目標をもち、計画を立てること
- 努力と根性だけではだめ
- 畑のこと、野菜のことを良く調べ、技術もしっかり磨くことが大切
- いい畑で始めること
矢野 智徳氏 講演会(一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり 代表理事)
矢野さんについては、次のリンクをご参照ください。
一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり
私の森.jp 矢野智徳さん
矢野さんは、2014年に隣市の友人の勉強会でお会いしたことがあります。友人の家と庭を矢野さんが工事したときの話、庭も風と水が通るように高いところ低いところ深みを作るという実例も現場で見ることができました。その後、水が集まるうさぎの畑では明渠を作ったり、元田んぼのカメの畑も2018年に明渠を作ることで野菜が水浸しにならずに済みました。
講演会では、理論からはじまり、実例をあげながら、大地の水脈と空気の流れが昔はどうだったか、ここ50年くらいの間のコンクリートなどを利用した開発によって水脈と気脈が滞ってしまい、様々な問題が発生していることを話してくださいました。
京都の御神木の事例もありました。ホームページにもあったのでリンクします。
【京都】岩屋神社 御神木クスノキの樹勢回復
枯れ行くやんばるの森とその隣の畑が復活した例も驚きました。雨が降るとずぶずぶになる畑は、1mの素掘りの明渠を作るなど土木作業を実施、森と畑の境にあるU字溝も撤去したそうです。すると畑はふかふかになり、施工後じゃがいもの収量がアップしました。枯れていたやんばるの森もみるみる元氣になり、10年後にはすっかりジャングルに戻っていました。
北海道胆振東部地震の現場についてや、愛媛県宇和島市吉田町の豪雨による土砂崩れについて。吉田町では、重機を使わずに地元の人ができる方法をということで、実施した方法を紹介してくれました。
矢野さんの講演会で「等速水脈」という言葉が何度も出ました。土砂崩れは、水が加速度的に流れることで水が大地に浸透しないこと。また流れた水によって土が削られてしまうこと。水の流れを等速にするための工夫です。(私の畑にも、斜面のところがあるので、雨が多く降る時期にロータリー耕で土だけにしないように工夫しています。それでも、うっかり豪雨で流されてしまうことがあるのですが。)
全国の事例のあとは、農地についても少し触れてくれました。日本では田んぼを畑として使うことが多いのですが、その場合どうすればいいか?明渠の掘り方、ところどころに深み(点穴)を作る大切さ。質問タイムでは点穴の作り方も教えてくれました。また、炭の効能も紹介してくれました。うちの畑でも、明渠を作ったら深みも作り、竹炭を入れてみたいと思います。詳しいことを書くと、誤った情報も出てきそうなので、興味がある方は、ぜひ全国各地で講座もあるようなので、参加してみてください。
田んぼの暗渠の作り方も、実際に明渠を作った農家さんが、どうやって作ったか説明してくれました。ごぼう掘りで使うトレンチャーで掘ると広すぎない深い溝が掘れるそうです。その農家さんは4m置きに穴を掘り50mmのコルゲート管を使ったそうです。通すとか、その後でいろんな資材(竹とかもみとか)を入れたそうです。矢野さんが、「竹炭がいいよ」ってアドバイス。
全国各地で大変なことになっているのが分かりました。でもそれだけではなく、10年でやんばるの森が復活したように、50年でダメになった自然環境も10年で治すことができるという希望です。それをおっしゃる矢野さんの明るいこと。それには、地域の人が勉強会などで一緒に勉強するが大切ということです。
畑に向き合うときも、水脈と気脈は、考えて感じればわかると。全部一気にやるのではなく少しずつでもやってみればいいと。点穴を掘ると固いところが出てくることがある。そのときは、そこまで掘れば十分。そして炭や剪定枝などを入れておけば、3か月とかで土が緩んでくるので、そしたらまた掘ればいいと。
矢野さんはいつも現場で感じながら施工方法を考えるそうです。経験でここではどうすればいいかって分かって、その判断に誤りはないと。それは矢野さんが持っているだけでなく、人間には備わっている力だと。
飯能市の取り組みと近隣の造園屋さんの紹介
矢野さんと同じ考え方の造園屋さんが全国にいらっしゃいます。
飯能市では、市職員の勉強会が開催されています。市民も参加でき、丈ちゃんが数回参加しています。2015年12月には千葉の高田園芸さんが講師として招かれたことがあります。矢野さんと同じように空気を大切にして造園されている方です。高田さんが矢野さんにあったときのブログからも矢野さんの考え方が伝わってきます。
杜の学校 矢野智徳さんの自然農
この後、2016年3月に、高田造園さんを招いて飯能の新しい市道の街路樹がいきいきと息づくための土づくりを市民参加型で実施しました。
飯能市 こもれびおこしの道路つくり
寄居町の中央園芸さんも、埼玉県で土中環境を大切にした造園をしています。そして飯能でも!丈ちゃんの消防の先輩のこやの造園さんも矢野さんの工法を取り入れて造園をしているそうです。飯能の皆さん、要チェックです!光寛さん、うちの長男と同じくらいのお子さんもいるパパです!
小島農園の畑近くの南小畔川は、蛇籠(じゃかご)を使った護岸工事が施工されています。コンクリートを使うよりも水生生物が棲みやすい環境になっています。こんな護岸工事が増えるように、コンクリートを使う工事がなくなっていくように、地域の皆さんと勉強を重ねる必要があると思っています。飯能と飯能から続く奥むさしの山を守っていくのは、飯能市民です!!!
発表 埼玉県三芳町 明石農園 明石誠一さん
私たちの師匠であり、勉強会の実行委員長でもある明石誠一さんの発表でした。自然栽培17年で、様々な研究をして学んだことを発表してくれました。詳しくは、そして正確には勉強会の資料を読んでください。
1.作物を栽培するための13の大切な項目と何に氣をつければいいか。明石さんは、あえて失敗する方法を試して失敗して理解を深めたそうです。
2.地力回復について。緑肥の混植、野菜を緑肥として活用する方法、野菜(モロヘイヤ)などを生垣として利用する方法、前作との相性。
明石さんがここ数年、人参の畝にヘアリーベッチを混植しているので、うちではこの冬播いてみました。人参を全部抜いた後もヘアリーベッチが土を守ってくれていいです。明石さんは、里芋の通路に葛大豆を播いて大豆との混植もしています。これも去年の夏試してよかったです。他に冬の葉菜の通路にのらぼうを播いているそうで、これも来年試してみようと思います。これ以上詳しく書くと間違えそうなので書けません。
17年の研究と経験は、本当に深いなって思います。緑肥を使えば地力が上がることは分かっているから、そうではない方法をいろいろ研究してきたそうです。他の方も自然栽培の極意のような「足すことを考えてはいけない。なくなるから補給するという考えではない。」という考えがあります。
最後に、自然栽培で目指すものは「幸せ」ではないかという問い。後で発表する松浦さんも同じでした。(自然栽培が有名になってきて、お金儲けのために自然栽培の名前を使う人が出てきているそうです。)
ここから、明石さんの発表を受けて私の考察などです。私は、トップクラスの地力があるきつねの畑(元桑畑でなんでも育つ)の地力を落とさないために夏の緑肥を5年続けました。自然栽培では難しいとされる白菜、キャベツが育つ畑、そのまま地力を保つためにやってきました。きつねの畑は、2018年冬はハクサイダニとヤサイゾウムシが増えました。明石さんに、そんなに虫がいるならもう地力は十分だと思いますよ。ってアドバイスいただきました。また、5月にソルゴーを播き7月中旬に粉砕して、8月中に2回耕耘して9月上旬に種をまくスケジュールでは、ソルゴーが十分に分解されていないと思いますと指摘されました。きつねの畑なら、冬野菜をそのまま4月5月にすき込んで、じっくり夏の間耕耘すればいいのではということです。
地力が上がること、未分解の有機物で虫害が増えること、連絡をすることで虫が増えること、様々なことが関係しています。地力が一番高かったきつねの畑初年度は、白菜はアブラムシの害がありましたが、他のヨトウムシ、ハクサイダニ、ヤサイゾウムシはいませんでした。これは冬野菜を連作することで増えてきたのだと思います。ヨトウムシ対策(夏の間、カエルなど天敵が過ごせる場所をつくる。さつまいもやネギを植えること)は効果を発揮しました。ハダニには、太陽消毒が効くという話もあります。6月から8月に耕耘して土を露出する時間が長いと、太陽消毒の効果と似たものがあるのかもしれません。私は、多様性の高い畑が居心地がいいので、ハダニとヤサイゾウムシは、クモに食べてもらうのがいいかなとも思っています。ハダニとヤサイゾウムシが活躍する12月1月は、クモもまだ活動しています。
今回の勉強会で思ったのは、自分の野菜をよく育てるためだけでなく、自然栽培の研究として公的な意図で、私の畑で実験をするのもいいのではと思いました。例えば、1.キツネの畑で6月から8月まで耕耘する区画と、2.例年通り緑肥を使って冬葉物を使う区画。2の区画では、通路にわらを敷いてクモがハダニやゾウムシを食べてくれるのか知りたいです。2で大丈夫なら、私は夏の間もできるだけ土が露出していない畑が嬉しいな。
冬葉物の連作については、輪作も考えます。ファシリテーションのときに、3年連作したら1年大豆を作るという方法もありました。3年連作して次の作物にする方法はいいと思います。今後、輪作をいろいろ取り入れてみます。すでに葉物と夏の果菜以外は1年で輪作しているところがほとんどなんですが、3年単位のローテーション面白そうです。
香純の金ゴマ(有)産直グループこだわり村 鈴木香純ちゃんの発表
https://kasumigoma.com/香純の国産ゴマ
小島家の長女的存在の香純ちゃんも発表しました。香純ちゃんは、20代の女の子なのに、できる社長のようなやり手です。ゴマに対する愛情とゴマ栽培の熱意、素晴らしい理念をもち、目をつけた金ゴマもよかった。洗いゴマ、いりごまだけでなく、量が増えれば練りごま、すりごま、ゴマ油とまだまだ販路があるそうです。規模拡大の計画もしっかりて、販路も確保するという、驚きの自然栽培家です。勉強会の資料も素晴らしかった。香純の金ゴマを日高市の特産、埼玉県の特産にしたいという地元に根付いた新しい目標も素敵です。そして障碍者と一緒にやっていきたいという心、すぐ社会福祉協議会に出向く行動力。レポートで新たに知ったのですが、自分の仕事を棚卸して、人に任せる作業もどんどん進めているそうです。ゴマ栽培をはじめて3年で、どんどん規模拡大をし、まだ大きくなっていこうとする力、台風の目のようです。無理しているんじゃなくって、計画的なのが本当に本当にすごいです。
発表では、自分が確立することができた、ゴマの選別を紹介してくれました。2017年までの香純ちゃんと、日本のごまを作っている農家さんが一番大変と思っている「ピンセット等」での最終選別を、ふるいと唐箕や色彩選別機を工夫して使うことでピンセットなしで成功したそうです!!!
香純ちゃんの自然栽培ゴマと、慣行栽培のゴマの特性の一覧も分かりやすかったです。え、自然栽培いいことばっかりじゃん!ってね。自然栽培でゴマを作ってくれる人を増やしたいそうです。
サン・スマイル 代表 松浦智紀
サン・スマイルさんは、埼玉県ふじみ野市で、無肥料自然栽培農産物と加工品の流通業と、自然食品店を経営しています。松浦さんは全国の自然栽培農家さんを訪問していて、自然栽培のことを一番知っていて、普及するために尽力されている人です。新規就農者も邪険にせず、どうしたほうがいいか、いろいろアドバイスをしています。
今回は、栽培で大切な条件を紹介してくださいました。明石さんの13の条件とかぶるところが多く、やっぱり栽培で大切なのはそこですね!流通の話も毎回興味深いです。今年は大根を例にサンスマイルさんがお野菜を受け取るときの様子を教えてくれました。全国の生産者を知っていて、成功する人、農業をやめる人、慣行農業に戻る人がいます。慣行農業から、少しずつ自然栽培にシフトする人は成功するそうです。全面的に一気に変える人はリスクも大きいそうです。
そして、問題提起も。A.カバークロップ、B.固定種野菜と種採りとF1、C.連作と輪作について。AとCはファシリテーションでみんなで話し合いました。
サンスマイルさんには、2018年12月と2019年1月に里芋の八頭と土垂、埼玉五色大豆を納品しました。出荷担当の方にどうでした?と聞いたところOKで一安心しました。さらに他にもありませんか?と言っていただけて、合格点もらえたようで嬉しかったです。
静岡県 善光園さん
善光園さんの発表で一番興味深かったのは、お茶の生命力の強さです。生産量を増やすため、味を出すために、野菜では考えられないほどたくさんの肥料を入れるそうです。それを「入れない」という選択をするって、強いなと思います。病虫害を出さないためには風通しが大切ということでした。野菜もそうだなって思いました。また、お茶畑で茶刈りをしている写真を見て、急斜面で作業が大変そうって思いました。
お茶食べませんか?と、「彩香」という緑茶を食べました。おいしいです!!私は、三年番茶が好きですが、専業だとやっぱり香り高い煎茶を味わってもらいたいですよね。
福岡県 有限会社マキイさん
無添加・自然食品のスーパーを経営されているそうです。調味料のさしすせそを発表していただきました。マキイさんの「さ」は砂糖ではなくみりんなど酒だそうです。塩の製法、酢を醸造するのに、本物とスーパーで安く販売しているものは大きく違います。
無添加・自然食品のスーパーマキイ
弘前大学の杉山修一先生
自然栽培を普及している木村秋則さんのりんご畑を研究している先生です。「すごい畑のすごい土」という著書があります。
弘前大学農学生命科学部 植物生態学研究室
1日目の夜の懇親会で、杉山先生と埼玉県の関野幸生さんが、畑の微生物の最新の研究について話し合っていたそうです。周りで聞いていた人が、その話はここだけではもったいない、ぜひ明日みなさんに伝えてくださいということで、急遽先生が発表してくださることになりました。「土壌微生物についての最近の研究結果」とっても面白かったです。今まで、稲の研究をしていて稲を自然栽培で育てる方法はだいたい解明できていて、勉強会でも発表してくださいました。畑も研究を成果が出てきたようです。いつか出版してくださると思います。
土壌の窒素固定細菌の割合を調べたところ、普通は3%くらいで、木村さんの畑には10%くらいいるそうです。自然栽培を続けても少しずつしか増えないそうです。先生が発表した論文を読んだ海外のベンチャー企業が、堆肥をいっぱい入れて、有用な窒素固定細菌を入れたところ、作物の収量が2倍にアップしたと報告があったそうです。関野さんの無施肥の畑の細菌も面白いそうです。先生が、そのうち本を出版してくれることと思います。他にもたくさんのグラフや表などを見せて説明してくださいました。
私が興味深く思ったのは大豆です。根こぶ病の研究です。23種類の科がちがう異なる作物をそれぞれポットで育てて、その後白菜と根こぶ病の菌をつけて白菜を栽培したそうです。前作の科によって、根こぶ病の病害度が変化しました。変化が少ないのは、ミツバ(セリ目)、キキョウ(キク目)、大豆(マメ目)などがありました。病害度が大きいものは、トウモロコシ(イネ科)、ほうれん草(ヒユ科)、ネギ(ヒガンバナ科)などでした。先生が、イネ科やヒガンバナ科の単子葉類で病虫害が多いですって言ってました。
23種類の科をグラフにするとリゾビウム目(根粒菌など)が多い科は根こぶ病を増やす方に作用して、バシルス目(BT剤に使われる卒倒病菌を含む)が多い科は根こぶ病を減らす方に作用する傾向があるようです。(グラフの見方が難しくって、ちょっと違うかもしれません)
キク科は土をきれいにするというのを聞いたことがあります。ひまわり、レタス、春菊などあります。大豆にも根こぶ病を抑える効果があるというのが意外でした。根こぶ病を抑えながらも、窒素固定菌が増えるなんて、素晴らしい作物です。先生も、日本に古くからある大豆を利用したほうがいいと言ってました。
杉山先生は、3年前から勉強会に毎年参加してくださっています。(その前は不明、多分2017年の講演会から)年によっては、自然栽培に大切なのは「愛だよね」と心に傾きかけたとき、杉山先生にマイクが渡ると「それでも技術研究は大切です。」と温厚な様子ですが心だけではなく技術の大切さを指摘してくれます。私の長いレポートも読んでくださって、話しかけてくださるのもとっても嬉しいです。
ファシリテーション
毎年、畑作、稲作、果樹、流通などに分かれてファシリテーションを行います。今年は、畑作が多くて、稲作や果樹が少なかったので、全員でファシリテーションすることになりました。質問したいことを参加者に書いてもらい、順番に議論していきました。約3時間の議論もあっという間でした。
- 残渣のすき込み方 4月5月に使う畑は、11月頃に一度耕耘したほうがいい。冬場は分解されないからというのが驚きでした。
- 育苗土 いろんな人の例、失敗例も。★杉山先生から、育苗土にいい畑の土を少し入れてみてください。作物がはじめに出会う細菌はその後も優勢を保つと思いますとのこと。今年実験してみようと思います。
- 連作と輪作について こだわる人は緑肥も使いません。連作16年のナスの例もありました。3年連作して1年大豆を作る例もありました。
- カバークロップ(緑肥)について 肥料としてより、冬の間など土を露出しないためのものとして使ったほうがいいのではという考えもありました。
- 新規就農での1年目の目標金額について
→関連して、理念を持つことが大切
→5年目など将来を考えて1年目の金額を出す - 関東圏の放射線量はどうなっているか?
- 羽咋市の取り組みの紹介
ファシリテーションでは、司会を買って出たのですが、難しかった。だれが何に詳しいか把握していない人も多かったので、意見がないときに指名して喋ってもらうのが大変でした。どんな質問が出たか、書き留める時間もなく記憶に強く残っているのを一覧しました。時間が足りなかったので、残った質問は答えられる人を紹介して終わりました。ファシリテーション後も個人的な話し合いが続いていました。
例年稲作部会では、専門的な話が多くて、畑作では簡単な質問が多かったのですが、今年は深い話が多かったです。
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