保育園に預けないで、家族が一緒にいる暮らし

うちの子どもたち、畑を始めてしばらくしてから保育園に預けるのをやめました。保育園に行かずに、家族で毎日一緒に過ごすことの豊かさ、畑で育つ子どもたちの様子をお伝えしたくなりました。

書き出してみて、いろいろな要素が絡み合い、簡単にはまとめることはできず長文になりました。関連があるので、保育園に通っていた時のこと、保育園をやめたときのことも書いてみました。

保育園に通っていた頃 その1 長男を10か月で預ける

長男が生まれた頃は会社員でした。長男が生まれたのをきっかけに、東京から飯能に引っ越しました。5月生まれの長男は10か月のときから私立のすぎのこ保育園に通うようになりました。

それまで子育て支援センターに通っていたのですが、4月から保育園にこどもを預けるママと、預けないでこどもと一緒にいるママたちがいること。ママと一緒にいれる子どもは幸せだなって思い泣きたくなるような気持ちになりました。自分が子どものときは、両親が飲食店を経営していたので、保育園にいたそうで、保育園では嫌な思い出も特にない(6歳までの思いではほとんどないのですが)ので、保育園に入っても大丈夫と自分に思い聞かせました。

長男は、お母さん大好きでした。保育園に通い始めてからも全力で泣きます。保育園から聞こえる長男の泣き声に後ろ髪をひかれながら保育園を去るのが辛かった。それでも、1か月2か月して保育園に慣れてくれました。

その頃丈ちゃんは、個人事業主として自宅でITの仕事をしていました。私は五反田の会社まで通います。時短にしてもらって、家を7時前に出て18時半に戻ってくる毎日。毎朝出かけるときは、長男が大泣きです。丈ちゃんが保育園への送迎をしてくれました。土日は長男とのを優先にして、あっちこっち遊びに行きました。

すぎのこ保育園では、クラスごとの懇親会を年に4回くらい行っていて、そこで保育園の様子だけでなく、わらべ歌を教えてくれました。わらべ歌で安心して眠る赤ちゃん、痛いときにもわらべ歌で痛さを忘れちゃうのを見て、たくさんのわらべ歌を私も歌うようになりました。他にも、手作りおもちゃの大切さ。洗面器が、ときにはお鍋になり、ときにプールになり、何にでも使えること。市販の使い方が決まったおもちゃにはできない、自分で作っていく遊びの大切さ。食べ物もこだわっていて、減農薬のササニシキを使っているのにも驚きました。保育園から本当にたくさんのことを学びました。

次男を出産するときに退園する

長男が3歳のときに、次男を出産しました。会社から産休と育休をもらって1年休むことにしました。そのとき、休んでいるなら長男も保育園に行く必要がない、できれば赤ちゃんとの暮らしを長男と一緒に楽しみたいと思いました。

保育園では、せっかくリズムができているから、保育園は休まずに通ったほうがいいと言われたのですが、悩みに悩んで保育園を退園することにしました。また4月に入り直そうと。

2番目の子あるあるですが、長男と次男、よく泣きました。お母さんを次男にとられた長男をうまくサポートできなかったんです。長男が泣いて、泣き止む頃には次男が泣いて、また長男が泣いてと大変な日もありました。8月生まれの次男ですが、11月には私の心が疲れ果てました。夕方になると疲れ切った長男とケンカしていました。支援センターに行って話してみても「小島さんなら大丈夫よ」と相手にされず。12月に日高市の野外自主保育「ぽのぽの」に参加して、同じく自然育児が好きなママたちと先生に出会ったときの嬉しさ。それから、3回くらいぽのぽのに参加してとっても心が軽くなったのを覚えています。(車がないから、なかなか参加できなかったのですが。)

2013年2月下旬 農業スタート

2013年2月下旬、次男が5か月くらいのときに農業を始めました。すぐに長男が変わりました。私から離れて畑で生き生きと遊ぶようになりました。広い畑で、できることがたくさん。農業資材もすべて長男のおもちゃです。U字ピンをどんどん土に突き刺す遊び、パッカーをつなげて電車遊び、苗作りのポットもバラバラにまいて遊んだり。ウドが生えているのをどんどん収穫したり、ショベルカーに乗って桑の木を抜くのを手伝ったり、ビニールハウスの支柱にペンキを塗ったり。遊びからお手伝いまで、長男がすることがいっぱいいっぱいあります。

2013年4月 保育園スタート

1か月後の4月に、こどもを保育園に預けるようになりました。元のすぎのこ保育園にもどることはできず、加治東保育所にもうすぐ4歳の長男と6か月の次男が通い始めました。「お母さんと一緒にいたい。どうして畑にいちゃダメなの?」と聞く長男、確かに1か月間畑で家族4人で過ごすことができました。そしてとっても楽しかった。

「働く人は保育園にこどもを預けるものだ」と思っていたので、嫌がる長男と何もわからない次男を保育園に通わせました。私が送っていくときは、長男大泣きです。「嫌だー、帰る―!お母さんと一緒がいいー!!」他にもお母さんと別れてずっと泣いている女の子もいます。3歳の子をこんなに泣かせていいのか?毎日葛藤します。根負けして、保育園に預けずに長男を連れて帰る日がありました。その日がだんだん増えて、確か7月はずっと行きませんでした。これなら、もう保育園に行く必要がないなと思って、退園することを考えました。退園したらもう保育園に入ることはできないので、かなり悩み、8月に長男を退園させました。

私立すぎのこ保育園から公立の保育園に変わって、たくさんの違和感がありました。一番大きな驚きは、こどもがほとんど外で遊ばないことです。9時に登園して10時ごろにごはんのために室内に入ってからは、お昼寝があったり、いろいろあって、また外で自由に遊べるのは16時過ぎだったと思います。みんなで外にお散歩に行く日もあるようでしたが、それにしても室内の時間が長すぎるように思いました。すぎのこ保育園では、こどもたちがいつでも外で遊べました。6歳の子が0歳の弟妹の部屋で遊ぶこともできましたが、加治東保育所ではその機会はありません。兄弟がいても、一緒に過ごす時間はほとんどないのです。7月の暑い日にお迎えに行ったら、冷房が効きすぎて寒かったことにも驚きました。0歳児は、汗をかいて汗腺を開かせないといけないのに、冷房の中で過ごしては大変だと。先生に聞いたら、眠れない子がいるから冷房をつけているとのこと。おもちゃも、音が出るおもちゃだったり、遊び方が決まっているおもちゃがばかりです。おもちゃは、こどもが一人で静かに遊ぶための道具のようです。給食は、あとで知り合いから聞いて知ったのですが、パンがあのヤマザキパンです。添加物が多すぎてカビも生えないと聞いています。おやつには、お菓子が出るのもびっくりです。すぎのこ保育園では、おにぎりだったり、さつまいもをふかしたのだったりでした。

保育園に違和感を感じるとともに、畑仕事と保育園の兼ね合いも問題になりました。16時に次男のお迎えのために、お迎え担当の丈ちゃんは13時ごろから仕事を調整します。15時半に作業を終わるにはどうすればいいか考えると、できることが限られてしまいます。10月に秋野菜の出荷が始まると、もう16時にお迎えに行く余裕がありません。送り迎えの時間と畑でこどもの面倒を見る時間、迎えに行くまで丈ちゃんが2時間くらい仕事に集中できないことなど考えると答えが出ました。「次男も保育園をやめる」です。

保育園をやめて氣づいたのですが、「保育園に行かないとだから急いで―!」とこどもを叱ることがなくなりました。「早く起きて!」「早く食べて!」「早く着替えて!」すべて大人の時間です。こどもには、こどもの時間が流れているのに。畑に行くためだったら、私の都合なので、ちょっと遅れることもできるし、他の人に迷惑をかけることもないので少し気が楽です。

保育園をやめて楽になったのが、着替えの洗濯です。楽になったのか?泥汚れがひどくて大変になったのか?分かりませんが、洗濯物の量は減ったと思います。洗濯担当は丈ちゃんなんですが。保育園では、朝の外遊びのあと、ごはんを食べる前に着替えて、お昼寝のときはパジャマに着替えて、また泥遊びで汚れたら着替えてと、何度も着替えます。畑なら、朝着た服が泥や水で濡れるまでは、お昼ごはんのときも着替えずにそのまま食べます。昼寝のときもそのままです。

家族みんなで毎日畑の暮らしスタート

保育園をやめてから、丈ちゃんは「こどもが畑で楽しく過ごす」ことを大切にして、かなり時間をかけるようになりました。冬には一斗缶をストーブにして、4歳の長男は火担当、焼き芋を焼いてくれるようになりました。夏の日差しが強いときには、タフブネでプールを用意したり。水を運ぶのも時間がかかるんです。はじめの1年間、毎日2時間くらいはこどものために時間を費やしていたと思います。「そんなにこどもに時間かけたら、仕事がちっとも進まないじゃないの!!!」とイライラしていたのを覚えています。丈ちゃんは、次男の育児担当で、泣いたらよくおんぶして仕事してくれました。

次男をおんぶして葉物を収穫

次男をおんぶして葉物を収穫

丈ちゃんの努力のおかげで、こどもたちは畑が大好きになりました。そして2年目からは子ども時間が少なくなって、こどもたちが勝手に遊んでくれるようになりました。こどもに何を用意すれば勝手に遊ぶかも分かってきて、夏なら水、最近は暑い日は川のある畑で作業して、水がない畑なら、スコップと水を用意して泥だんご遊び。苗作り用に風呂桶にいっぱい溜めている水は、夏の間こどもの遊び場になります。冬なら火、雨の日は絵の具、車の中に本をたくさん持ち込むことがあったり、ラジカセを車で聞けるように充電池を買ってみたり、いろいろ工夫しています。

長男は、土を掘るのが大好きなので、掘っていい畑とスコップを用意すれば、一日中穴掘りを楽しみます。次男と長女は仲がよくって、二人で楽しそうに遊んでいます。昨日の日暮れには、畑を3人で走り回ってました。最近見た航空ショーの再現遊びで、飛行機になってハートマークを描いたり、星を描いたり、そのうちピンセットとか、折れた楊枝とか、なんでもかんでも作ってました。

2015年に長女が誕生しました。生後3か月に畑でビューです。寝返りをうつまでは、ほんと育苗ハウスに置いておくことが多かったです。2月生まれなので、暑い夏はおんぶを嫌がるので、車に置いておくことが多かったです。大泣きしても、「ごめんねー」と作業する日もありました。初めのうちは、よく泣いて、おっぱい時間が多いんですが、働きすぎの私たちには、おっぱい時間、寝かし付け時間がちょうどいいくらいです。畑に赤ちゃんがいると、楽しくって癒されます。

楽しい赤ちゃん時間

楽しい赤ちゃん時間

こどもがいると、赤ちゃんがいると、畑仕事が思うように進まないことがあります。長女が1か月のときの丈ちゃんの名言があります。
「一日の終わりに、赤ちゃんがいたからやりたいことが全部できなかった。で終わるのではなく、赤ちゃんが泣いているのをいっぱいあやして、それでもこれだけ仕事ができたって終わったほうがいいよ。」だいたい、こんな意味でした。

この考え方のおかげで、毎日がより楽しくなりました。やりたいことにきりがないんだけど、最後は今日も十分できたと満足して終わることができてます。

うちでは、丈ちゃんが洗濯担当になってくれて助かっています。朝ごはんを作って、お弁当とおやつを用意して10時ごろ出かけます。おやつはおにぎりだったり、何か特別に作ったり。市販のおやつを買うことはありません。

こどもの成長を愉しみ、こどもと一緒にいる時間を楽しむ

最近、親しい友人がこどもとの時間を大切にするために、預ける保育から自主保育に切り替えました。もっとこどもと一緒に過ごす時間を大切にしたいと。「この選択を、私にとっても遠回りなんかじゃなくて、息子から、子どもたちから、自然から、沢山学んで精進する期間にしたいと思います。」という言葉を聞いて、そうそう、こどもから学ぶことがたくさんあると思いました。

日本では、戦後に庶民のこどもが保育園に通うようになりました。それまでは、畑仕事にこどもを連れていくのが普通、もしくはおじいさんおばあさんと一緒に過ごすか。職人の家でも、小さい子はお母さんと一緒だったと思います。就農した頃は、人通りのあるクマの畑によくいたので、お散歩している方が声をかけてくれました。70歳を過ぎた方たちは、こどもたちが遊ぶ様子を見て、「俺が子どもの頃は、こんな風に畑で遊んだもんだよ。赤ちゃんも畑に置いてさ」と懐かしそうに話してくれます。

保育園に預けて親が働くのが当たり前になっていますが、そうでない選択ができることを知ってほしいと思います。こどもと一緒にいる時間、家族が一緒にいる時間は貴重だと思います。一緒に仲良く過ごすためには、相手のために心を遣うことが必要で、その積み重ねが親子、兄弟、夫婦、家族の関係を深くすると思います。

母子は一緒にいたほうがいいと思いますが、室内でずっと一緒に過ごすのは大変です。団地に住んでいた頃は、こどもが遊べる部屋が1部屋だったので、こどもの遊び声が響いてうるさい上、こども達がお母さんと遊びたがるから仕事もほとんどできないので私はイライラしてよく怒っていました。一軒屋に引っ越して、こどもたちも少し大きくなって自分たちで遊ぶ時間が増えたおかげで、今は家で仕事する時間も仕事に集中できるようになりました。畑の日は、父母は畑仕事の専念して、こどもは自由に遊んでいます。こども達が楽しそうに遊ぶ姿を見るのが嬉しいです。

0歳から2歳くらいまで、日々成長していくこどもを見るのは、親の喜びだと思います。夫婦で、そして兄弟も一緒に、赤ちゃんの成長を楽しむことができました。「寝返りしたよ―!」「後ろに進んだから、今度は前に進むね」「そろそろ立ちそうだよ」「立った―」赤ちゃんの成長を家族で一緒に楽しめる、とっても幸せでした。赤ちゃんは、本当に頑張ります。日々特訓して立ち上がり、立ち上がって満足せずに次は頑張って歩き始めます。その頑張る様子も、大きな力を与えてくれます。赤ちゃんってこんなに頑張っているんだって。

2歳を過ぎてからも、こどもの成長は止まりません。あるときぐっと何かが成長することがあります。最近、こう変わったよねとよく丈ちゃん(夫)と話します。6歳の次男は、最近急に折り紙が上手になりました。どんどん折り紙を折っていきます。ある日は、畑に来た女の子とかけっこして、かけっこがぐんと早くなりました。

保育園にはない、畑のよさの一つが、自分時間がいっぱいあることです。折り紙が好きなら、一日中折ることができます。10時にご飯の時間だからと折り紙を折るのをやめる必要がありません。折るのが好きなら12時まで折ればいいんです。食べるより折るのが好きなら、ずっと追っていても大丈夫です。長男は、さつまいも掘りイベントの日に、穴掘りを始めたら楽しくなって、みんながお昼ご飯を食べている時も掘り続けました。あとで16時ごろに「おやつ食べようか」と言ったときに、まだ昼ご飯を食べていないことに氣がつきました。

我が家にはテレビがないので、こども達は絵本をよく読みます。飯能市にはこども図書館があり、たくさんのこどもの本があるので、よく借りに行きます。本を借りた日から数日は、長男は本の虫になります。呼んでも返事をしないくらい。私は、このくらい集中できることがあるって素晴らしいことだと思います。

次男は絵を描くのが好きです。クレヨンと紙があれば、いろいろ書きます。字も兄の真似をして勝手に書けるようになりました。いつも一人で書いているので、独特の画風があります。習わずに心から自然と出てくる絵って素晴らしいと思います。

畑でたくさんの発見をする!

畑では、たくさんの発見があります。種をまいてからしばらくすると芽が出ます。「芽が出た―!」という喜び、それがどんどん育つ喜び、そして収穫する喜び。ときには、「虫に食べられてるー!」と虫を見つけたり。虫もいろんな種類があります。人参の花に必ずやってくるアカスジカメムシ、苗の根っこを切ってしまうネキリムシ、夏にはマメハンミョウの大群がナスや枝豆の葉っぱを食べつくしたり。キジやハトが、種まきした大豆を食べちゃうこともあります。苗を作るためのビニールハウスには、ハツカネズミが出ることもあります。小さくてかわいいネズミ、見つけると追いかけまわします。クモの巣を見つけたら、バッタをクモの巣に引っ掛けると面白いです。あっという間にクモが糸を出してぐるぐる巻きにします。アリジゴクをみつけたらアリを置いてみたり。こどもと一緒だから、「あ、クモの巣だ」では終わらずに、じゃあ虫を置いてみたらどうなるかな?と一緒に楽しめます。夏の午後にはサムライアリの行進を見つけることがあります。クロヤマアリの巣まで行って、卵を奪って帰るのです。サムライアリの行進の早くて怖いこと。

田んぼや小川も楽しいことがいっぱいです。田んぼに水を張ったら、すぐに魚が泳ぎ始めます。フナ、どじょう、エビ、ザリガニなど捕まえるのが面白いです。そのうちおたまじゃくしがいっぱい出てきて、足が生えて、いつの間にかカエルになっていく様子。田植えのころには、苗に小さなイナゴを見つけました。ツバメが飛び始めたのを観察して、稲にはヤゴの抜け殻を見つけ、カエルを捕まえたり、大きくなったイナゴを捕まえたり。秋にはトンボがいっぱい飛び交います。

こどもが仕事場にいることの大切さ

こどもたちが仕事場にいることは、とても学びが多いと思います。父と母が何をしているのか、うちの子どもたちは日々見て知っています。お金を稼ぐことがどんなに大変か、よくわかっています。毎日日が暮れるまで働いて、雨の日もあれば、暑い日もあり、仕事ばっかりしています。

今年、お米を収穫したときに長男と次のような会話をしました。
私 :豊里が玄米で360㎏くらいとれたね。全部で25万円くらいかな
長男:それって安すぎじゃない?
私 :じゃあ、どのくらいならいいかな?
長男:100万円くらいかな
私 :そしたら、1kg3000円くらいだね。今は1kg800円だよ。

長男は、お米作りのためにどのくらい時間がかかり大変だったかを良く知っています。そして、自分がお手伝いをしてお金をもらい、買いたいものを買うので、お金の価値もよく知っています。1反の田んぼの収入は100万円くらい大変だという考え、素晴らしい感覚だと思いました。

こどもたちは、遊びの延長でお手伝いをしてくれます。特に収穫は大好きです。長男が3歳のときは、山東菜の収穫をお願いしました。人参の収穫もこどもたちは大好きで、大きいのを見分けて抜いてくれます。ピーマンの袋詰めも3歳からできる仕事です。160gはここと教えると、160gになるようにピーマンの大きさを選んで載せて、袋に入れて、最後にガチャンとシールしてくれます。長男に教えると、2年後には長男が次男に教えてくれます。そしてその2年後には、次男が長女に教えてくれます。

9歳になった長男は、今年秋冬野菜の防虫ネットの回収をしてくれました。私が収穫している間に次々とネットを片付けてくれてとても助かりました。

仕事場なので怒ることもあります。大豆を広げて乾燥しているところで、まだ2歳の長女が遊んで大豆をこぼしてしまったとき、強く怒ったことがあります。2歳の子に本気で怒るのは悪いことなのか?でも仕事場にこどもがいるから、怒るのはしょうがないことだと思いました。今日も、ネギ畑で追いかけっこするこども達を叱りました。ネギが折れるし、土が踏みしめられちゃうからです。でも、こどもは土の上で遊ぶのが大好きで、なかなかやめさせられません。

農業機械に関しては、切れたりするので本当に注意しています。逆に、鎌や鍬などは、初めに少し使い方を教えると大けがすることがありません。鍬は、體(からだ)を上手に使って上げ下げしています。毎日體を使って遊んでいるので、バランス感覚などもいいようです。

農業では、算数も結構出てきます。小学校3年生の長男には、人参を抜くときに「3本×14人でお願いします。いくつ?」と出したり。長男が小学校に上がる前、配達のときはおつりの計算をするのが好きでした。「1950円で、2050円もらったら、おつりはいくら?」というのを、かなり独自の方法で答えを導き出していました。金庫に貯まったお金の計算もお願いしています。5000円札何枚、1000円札何枚と数えて、合計を出すこと。配達でお金をもらって、金庫の貯まるのもお金の流れが見えて分かりやすいです。繁盛期の12月にはどんどんお金が貯まります。「20万円だー!!」と大喜びしたり。

小島農園では、お野菜を宅配という形でご家庭にお届けしています。配達にもこどもたちを連れて行きます。こども連れだと大変なんですが、とても学びの多い時間です。畑では好き勝手にしていていいのですが、配達先では迷惑にならないように氣をつけます。畑に来たことがある子がいる家では、楽しみに待っていてくれて、玄関先で遊ぶことも多いです。先日は、折り紙好きな兄弟がいるお宅で、30分くらい折り紙を一緒に折ってました。本当に迷惑にならないか、注意しながら、こどもを歓迎してくれるお宅での楽しい時間です。

長男が小学校に入学した年は、長男がストレスのためか配達のときに制御が効かずに大変でした。玄関でいろいろ触ったり、騒いだりしてしまうのです。お店でもあれこれ触ってしまったり。私の疲労もピークだったのか、客先で叱る力もなくなっていました。この時期は3件、宅配をやめることになりショックでした。そんな中でも温かい心で迎えてくれるお客さんに救われました。仕事場にこどもがいると、辛い学びもありましたが、楽しい時間が多くなるように、小島農園と相性がいいお客さんを選ぶようになりました。

自営業っていいですよ

農業を始めて、自分のやりたいことを自分のペースで、できるようになりました。こどもと一緒にいるという選択もできました。

母親が会社員だと無理することが多いと思います。家事、育児、仕事の両立はとても難しいです。今は、丈ちゃんが洗濯担当で育児もちょこちょこサポートしてくれるので、仕事に専念できています。母親は実は自営業の方があっているのかもしれません。私の周りには、自営業の女性がたくさんいますが、みなさん才能をいっぱい発揮して輝いています。

会社員、公務員のような、月々の安定した収入はありませんが、とってもとっても幸せなで充実した毎日です。私のお客さんは、私たちのことを理解してくれている人ばかりで、顔が見え、私もお客さんのことが大好きです。私と仲良くなれそうな人だけを選んでいます。私とケンカしそうな人は、丈ちゃんが「その人とはうまくいかないと思うよ」と教えてくれます。

お客さんが体調を崩したと聞けば、親戚か友人のように、こうするとどうかな?と言ってみたりします。身近な人のために野菜を作り、おいしいと言って食べてもらえる幸せがあります。

自営業になって、なんでも自分で考えて、実行するのがとっても楽しいです。どの野菜を育てるか?スケジュールをどうするか?売り上げはどうだったか?豊作の野菜(今ならさつまいも)をどうすれば全部売れるか?新商品の玄米麺のパッケージをどうしようか?

心強いパートナーの丈ちゃんと、かわいいこども達との暮らし、本当に幸せです。農業を始めてよかったって思います。

家族が幸せになることは、とても大切なことだと思います。家族が幸せになり、身近な人が幸せになり、地域が幸せになり、幸せの輪を少しずつ広げることが、社会の幸せにつながっていくと思います。

家族が幸せになるには、私は家族の時間をしっかり作ることが大切だと思います。お互いのことを思いやる時間を作ってください。会社に、学校に、保育園に、その時間をいっぱい取られないでください。

長男が生まれてから、出会った素敵な本があります。ミヒャエル・エンデの「モモ」です。時間泥棒が、みんなの大切な時間を盗んでいきます。時間泥棒に時間を取られた人たちは、どんどん人が変わっていきます。時間泥棒はこどもが苦手、こどもたちはこども園に押し込められてしまいます。モモだけが残ってみんなの盗まれた時間を取り戻すために頑張ります。

今の世の中にも、時間泥棒がいっぱいいて、みんなの大切な時間を奪っています。氣をつけてください。氣づいてください。大切なものを失わないように。夫婦の時間、こどもとの時間を大切にしてください。

カテゴリー: 子育て, 畑と子ども
2 comments on “保育園に預けないで、家族が一緒にいる暮らし
  1. 太田俊治 より:

    子育て奮闘記
    私の育った頃を思い出します。
    私の当時は、父母は就農以外の選択肢が無く、母には、チリ紙さえも買ってやれなかつたと言う父の愚痴を思い出しています。

    益々農の現場で子育てに励んで下さい。成長したお子様達の眩しい姿が目に浮かぶ様です。

    • なおちゃん より:

      太田さん、コメントありがとうございます。

      畑の地主さんも、昔は畑で働くしかなかったと言っていました。大変だったとおっしゃいますが、農業機械のおかげでずいぶん楽になったと思います。

      畑で子育て、これからも楽しんでいきたいと思います。

なおちゃん にコメントする コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*