2020年米作り まとめ

 3.8反の田んぼに、早生のササニシキとコガネモチ、中晩生の古代赤米神丹穂と豊里を栽培しました。

今年も苗づくり大失敗

 2019年に購入した平型乾燥機でお米を乾燥させたところ、12.5%まで過乾燥してしまったササニシキがありました。あとになって、過乾燥は胴割れ米になるということが分かったのですが、種もみを保管するときにはしりませんでした。この胴割れ米が多いササニシキを播いてしまい、発芽率が10~20%になってしまいました。播きなおすと間に合わなくなる、播きなおす時間はないと思い、そのまま発芽の少ない状態で育苗を続けました。他の品種(トヨサト、コガネモチ、古代赤米神丹穂)はよく育ちました。
 例年、プールを作って苗作りをしていたのですが、床を水平にするのが難しく、深いところと浅いところで苗の生育が変わってしまうので、今年は畑に苗を並べて、毎日潅水することにしました。猫や鳥に苗をいたずらされないように、防虫ネットも張りました。

お米の苗床

お米の苗床

どうにか田植完了

 いよいよ田植え、田植え機の稲を掴む量を「多い」にしたところ、まばらに生えたササニシキの苗をひどい欠株なく植えることができました。でも、掴む量を多いにしたのでどんどん苗箱が減り、予定していたササニシキの面積は満たせなくなり、急遽神丹穂を増やすことにしました。背丈150㎝になる神丹穂は、例年倒伏して収穫困難で、ここ数年作付は少なくしていました。神丹穂を倒れなくする工夫2020バージョンは、①通常条間30㎝のところ60㎝にする、②ササニシキが倒れない圃場を選ぶです。苗が少ないので、4条植えの田植え機で、4条植えたら1条空けました。稲が育った8月、1条空けは風通しがいいなって思いました。ササニシキの苗不足でトヨサトの作付も増えたのですが、こちらも苗が足りなくなり、補植ができなくなりました。
 田植え後は、稲が活着するまで水を少なくする必要があるのですが、高低があるコイの田んぼで、高いところに水を入れたくて、低いところで深すぎになりました。深くなったところの稲がたくさん浮いてしまいました。こんなことはじめてです。代掻きのときに重いトラクターの車輪でとろとろで深くなってしまったのも影響しています。後日できるだけ補植しましたが、水深が深いところに植えなおしてもなかなか活着しませんでした。田んぼの均平の大切さが身に沁みました。

藻に悩まされながらの除草

 除草の始まりは、代掻きです。田植えの8日前に1回目の代掻きをします。雑草が発芽するので1週間後に代掻きをすることで除草を1回したのと同じ状態になります。
 田植えの1週間後を目安に、チェーン除草をしました。重いトラック用のチェーンを使っているので、苗にも負担がかかります。効果は大きくてたくさんのコナギらしい草が浮きました。藻が繁茂した田んぼがあり、そこは魚とり網で藻を救い取ってからチェーン除草できるところだけしました。

チェーン除草

チェーン除草

 コイの田んぼの深いところは、風向きもあってか藻が溜まってしまい、何度か藻を取っって稲を救済したのですが、25㎡くらい稲が消えてしまったところがあります。この池のようなところには、後日シラサギがよく来ていました。

藻が一面に広がったコイの田んぼ

藻が一面に広がったコイの田んぼ

魚とり網で藻をすくう

魚とり網で藻をすくう

みんなで藻をすくってます

みんなで藻をすくってます

 藻が適度に育ったツバメの田んぼでは、①藻による窒素固定、②光をさえぎって雑草が育たない、③藻に隠れて水の中の生き物が鳥に食べられないなど良い効果がありました。ツバメの田んぼも、補植をしていないこともあり欠株が例年より多かったです。このおかげで、カルガモのつがいが棲みつくようになりました。カルガモが田んぼに棲みついたのは初めてで嬉しかったです。
 チェーン除草して1週間後を目安に、「中野式除草機」で除草しました。稲を挟んで田面をこすります。10㎝ずつこすって前進するので、1反の田んぼの除草に5時間はかかりますが、除草効果が高いです。藻が多い田んぼでは、速度が速い除草機を使うと水流で藻が引っ張られて稲に被さってしまいます。中野式除草機はゆっくり動くので藻があっても除草ができるのがありがたいです。今年田んぼを1枚ずつ担当している「ほっこりポッコリ自然農園」の橋井さん、やまね酒造の若林代表と、研修生の岡田さんのおかげで、適期に除草ができました。

中野式除草機で田んぼの除草をするやまね酒造の若林代表

中野式除草機で田んぼの除草をするやまね酒造の若林代表

 除草で大切なことは、常に水を張っていることです。除草した後で水がない状態がしばらく続くと、またコナギやヒエが生えてきてしまいます。上流で除草が頻繁に行われる7月には取水口に草が詰まっていることが多いので、毎日の取水口のチェックが欠かせません。田んぼの水位を安定させるために、排水口も排水と滞水がしっかりできるように保全します。畔が低い、畔がゆるくて水が抜ける田んぼも多いので、田植え前の畔塗りもできればした方がいいです。少しずつ、できるところから田んぼを改善しています。

コイの田んぼで欠株したところ

コイの田んぼで欠株したところ

稲刈り、乾燥

 9月下旬に早生、10月下旬から晩生の順に収穫しました。できるだけ田んぼで乾燥を進ませてからと思い、黄色みが増すのを待ちました。自然栽培の先輩たちは、真っ黄色になるまで収穫しない方が多いですが、台風での倒伏も怖いのでまだ青みが残るうちに収穫しています。

9/22 ササニシキ収穫

9/22 ササニシキ収穫

11/4 トヨサト収穫

11/4 トヨサト収穫


 1条刈りのバインダーで刈り、ハーベスターで脱穀して、その日のうちに乾燥させます。乾燥する前に水分量をはかるのですが、だいたい18%でした。お米は14.5%が適切な水分量です。ゆっくり乾燥させるのが、胴割れ米にしないコツなです。予算の都合で平型乾燥機を導入したので、様子を見ながら、常温で通風したり、40度で2時間乾燥させたりと、少しずつ様子を見ながら乾燥させています。
 ここ3年間、神丹穂の倒伏に困っていました。べったり倒伏すると雨で発芽したり、起こすのが大変だったりします。支柱を立てて6株くらいまとめて括り付ける方法もしましたが、括り付ける作業もほどく作業も面倒です。倒伏がひどかった神丹穂が、今年は軽めの倒伏ですみました。条間60㎝の作戦成功でとても嬉しいです。倒れやすいコガネモチもほとんど倒れなかったので、今年はもち米の収量が200㎏となりました。

倒れなかった神丹穂

倒れなかった神丹穂

各田んぼの収量

各田んぼの収量

反収は、自然栽培では6俵360㎏が合格ラインと言われています。今年は、苗が足りなくなって補植できなかったことや、藻が広がって欠株したところがあったこともあり、反収が6俵を切ったところが多かったです。

夏場の貯蔵に成功

 2019年に収穫したお米を9月まで常温で保管することができました。籾付のまま米袋に入れて、プレハブ倉庫に置いておいたのですが、虫もわかず、ネズミの被害もなく、食味はおいしくなりました。夏場は玄米にすると虫が湧き、カビがはえやすくなったので、冷蔵庫で保管しました。籾は素晴らしい貯蔵機能だと思います。

カテゴリー: 米作り

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