1月の飯能プランニングコンテストで審査員だった飯能ケーブルテレビの社長の和泉さんが、3月に畑にきてくださいました。なんと、ロータリークラブの例会で卓話をしてくれないかとお話をいただきました。「とても嫌でなければ流れに身を任せる」という師匠の言葉が頭に浮かび、まだ農業初めて3年目のひよっこではありますが、話をさせていただくことにしました。
5月に入ってから発表内容をあれこれ考えました。飯能のいろんな業界のトップの方たちがあつまるロータリークラブで、何を発表すればいいのか?でも、和泉さんが「こんな話を聞きたい」といろいろ言ってくださったおかげで、やっぱり小島農園らしさを発信しようと思いました。題して「作る人と食べる人の顔が見える農業」、30分の発表です。発表内容を考えていくなかで、小島農園について、夫婦でよく話し合うことができました。折角なので、発表した内容をブログにアップしてみることにしました。30分を全部書き起こすと大変なので、適当にまとめています。
導入
まずは、自己紹介、農業をはじめた理由、固定種野菜と自然栽培について、そして小島農園の作物のご説明しました。ここは割愛します。
小島農園の販売戦略
次に、小島農園の販売戦略として、1.お野菜の販売、2.農業体験を売る、3.固定種野菜の苗の販売を紹介しました。
お野菜の販売は、小島農園では宅配をメインにしています。1000円~2000円くらいの「季節の野菜セット」を家庭にお届けします。お野菜がいっぱいあるときは、3000円、5000円も可能です。契約が約40件あり、車で配達できる飯能近隣が半数。残りが所沢、川越などの埼玉や東京などの遠方に宅急便で送っています。
農業体験は、あとで詳しく説明します。小島農園の大きな特徴だと思います。
そして、固定種野菜の苗の販売。ホームセンターでは固定種野菜の苗が売っていないので、販売していること。長野県や東京からも畑に買いに来てくれる人がいること。そして、野口たね屋さんに苗を置かせてもらっていることが、大きな宣伝効果を発揮していること。神戸や千葉からも苗の発送のお問い合わせがあることなども紹介しました。また、家庭菜園などで自家採取した方の苗づくりを小島農園の育苗ハウスで行う試みについても紹介しました。
食べる人
就農当時、野菜がしっかり作れるかとても不安でした。が、蓋をあけてみると、おいしい野菜ができました。お野菜大好きなお客様が多いのですが、その中でも、「水菜が大好き」という方が、「小島さんの水菜が今まで食べた中で一番おいしい」と言ってくれ、「枝豆には目がない」という知人がやっぱり、「今まで食べた中で一番おいしい」と言ってくれます。ある人に、「『一番おいしい』って言ってくれる人は、小島さんをよく知っている人じゃないの?」と言われたことがあります。私たちのことを知っていて、私たちの思いや人柄ごと、お野菜を食べるときに味わっているから、「一番おいしい」になってくるのではと思います。自然栽培の野菜を普及しているお客さんが、知り合いに紹介してくれたので、お野菜を送ったことがあるのですが、反応はにぶかったです。
「畑に行こうよ!」というシリーズものの畑イベントに参加してくれたご家庭では、「『直子さんが作ったお野菜だよ』というと、普段食べない野菜も食べるんですよ」と言ってくれました。
畑でイベントを開くときに、昼ご飯を用意するのですが、いつも好評です。外で食べるのも氣持ちがいいし、かまどで炊いたご飯とみそ汁も格別です。同じ食べ物でも、作る人が見えること、食べる場所などで、ずいぶん違うんだと思います。
畑に来てほしい!
小島農園では、たくさんの人に畑に来てほしいと思っています。つぎの3つの観点1.生産現場を知ってほしい、2.畑を楽しんでほしい、3.手伝ってみる、そして発展形の「畑をはじめてほしい!」を伝えました。
「生産現場を知ってほしい」ですが、自分たちの食べているものが、どんなところで、どうやって育っているか?どんな人が作っているのか知ってほしいと思っています。そのために、「夏野菜まつり」、「菜の花摘み」イベントなどで、宅配のお客様に畑に来ていただくようにしています。畑に野菜を取りに来ていただくときは、畑を少しご案内することもあります。
「畑を楽しんでほしい」ですが、畑には、暖かい太陽、気持ちのいい風、土の感触、草や虫、広々した景色など、素敵なものがたくさんあります。畑にいるだけで、体が元気になります。畑で作業する、畑で遊ぶと、もっと元気になります。そこで、「畑で遊ぶ、畑で食べる、畑で育てる、畑に行こうよ!」という未就学児がいる家庭を対象の年12回のイベント開催しています。去年からはじめました。他にも、ジャガイモ収穫、田植え、稲刈り、大豆収穫&脱穀、雑穀収穫&脱穀などの体験イベントも開催しています。
「手伝ってみる」ですが、農に興味を持っている人は、結構たくさんいることがわかりました。イベント形式ではなくて、1日作業をお手伝いしてもらうことで、作業中に、いろいろ話をすることができます。農に関すること、自分たちの農業への思いを直接伝えられます。また、農作業は、辛いだけじゃなくて楽しい!と感じてもらいたいと思っています。こどももOKです! こども同士楽しく遊んでいます。飯能の人はもちろん、遠方は東京から援農に来る方もいます。
「畑を始めてほしい!」ですが、食べるだけではなく、作る側にもなってほしいと思っています。固定種野菜を育てたい人のために、固定種野菜の夏野菜の苗を販売しています。また来年から、市民農園のような区画の貸し出しをはじめて、野菜づくりをバックアップしていきたいと思っています。さらに、農業を始めたい人に、アドバイスしたり、研修に来てもらったりしています。
楽しい農業を発信する
農業は辛い、儲からないと言われていますが、実は楽しくて、やりがいがあり、地に足がついた幸せな仕事だと思います。たくさんの人に農業に興味を持っていただけるように、「農業って楽しい」を発信しています。小島農園に興味を持っていただき、身近に感じていただくことが、顧客開拓にもつながりますし、宅配が長続きする要因だと思います。
ブログをまめに更新して、畑の様子を伝えます。家族で楽しんでいる様子、畑に来た人たちが楽しんでいる様子、その他イベント、日々の農作業、栽培のポイントなどです。ブログをまめに更新することで、インターネットで検索したときも、小島農園が上位に出てくるようになります。こどもたちの写真は、インターネット上に公開しないようにしているのでFacebookの友達限定で、畑で活き活きとしているこどもの姿を見せています。
宅配のお客様に、A41枚にまとめた「畑の便り」を2週間に1回の頻度でお届けしています。2週間後とでも、畑の様子が結構変わっていきます。インターネットを利用しないお客様にも、畑の様子を知ってもらい、小島農園を身近に感じてもらうためです。
無肥料自然栽培nicoの季刊誌nico通信にも就農時からずっと執筆しています。nico通信を通して、援農に来た人も数名います。
作る人の心
配達に行くのは、とても楽しみです。だいたい在宅の時に伺うので手渡ししています。そのとき「この前のお野菜おいしかったわー」とか、「あら、おいしそうね」と言われるととても嬉しいです。お野菜大好きのお客さんから、お野菜の料理方法を教えてもらうこともあります。お話ししていると、誰がどんなお野菜が好きなのかとか分かってきます。人参の草取りをしていても、「Aさんは、人参の葉っぱまで好きだったな」とAさんが喜ぶのを思い浮かべ、仕事に精が出ます。大根を収穫すれば1つ1つ違う形で、この一番大きいのはBさんにしよう、この面白い形のはCさんにしよう、Dさんは2人家族だからこの小ぶりなのにしようとか、お客さんの顔を思いながら出荷先を決めます。直接お届けするので、下手なものは渡せなくなります。それが品質向上につながっていると思います。
追加情報
1.第8回 輝け!飯能プランニングコンテストで「のらぼう油プロジェクト」が最優秀賞をいただいたこと。(和泉さんから、ぜひ話してほしいと言われていました)
2.飯能エコツアーとして「雑穀エコツアー」を考えていること
3.農業青年会議所の紹介
話のあとで
例会の前にも、和泉さんがたくさんの方に紹介してくださいました。話をしたあとでも、声をかけてくださる人が多く、ありがたく思いました。家に戻ってみると、Facebookでも連絡くださった方がいて、とても驚きました。農業をはじめてから、人の輪が、一回り、一回り、徐々に広がって行きます。
飯能幼稚園の理事長がFacebookにコメントをくださったのが一番驚きました。小島農園が一番関心を持ってもらいたいと思っている、幼いこどもたちを持つ家庭にとても近い存在だからです。このご縁を大切に、飯能の子育て層を少しずつ畑に呼びたいと思っています。あれこれ話をするより、畑に来て、畑を感じて、そして畑にいる私たちのこどもの伸び伸びした様子をみたり、ご自分のお子さんたちの楽しそうな様子をみることが、一番分かりやすいと思っています。秋には、こどもだちがサツマイモ掘りに来てくれるでしょうか。さつまいも、大きく育ってねー。
それにしても、まだ農業をはじめて3年目の私たちに、機会を与えてくださった飯能ケーブルテレビの和泉社長には感謝しています。どうやら、ケーブルテレビで小島農園を放映してくれるそうです。飯能の農業を盛り上げるためにも、地域を盛り上げていくためにも、楽しんでいろいろ取り組んでいきたいと、改めて思いました。
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